生殖器の病気

犬の前立腺癌の治療!手術や抗がん剤と経過や予後など!

犬の前立腺疾患の一つに腫瘍(がん)
があります。
犬の前立腺がんは、比較的稀であり、
発症率は高くはありません。
(全前立腺疾患の中で約3%)

 

ただし、他臓器の癌(がん)もそうですが、
犬も高齢化に伴いさまざまな病気と共に
がん罹患率が増えてきていますので、今後
前立腺がんも増加していく可能性は高い
と考えられます。

スポンサーリンク


また、他の前立腺疾患は、去勢手術に
よって精巣を摘出しておくことで予防
できることが多いですが、前立腺がんに
ついては去勢、未去勢は関係ありません。

 

そして、癌にもさまざまなタイプが
ありますが、犬の前立腺に発生する
がんは、悪性度が高いことで知られます。

 

こちらでは、犬の前立腺がんの
治療についてや、経過、予後などを
まとめてみましたので参考にしてください。

 

<犬の前立腺がんについて>

 

犬の前立腺に発生する腫瘍のほとんどが
悪性で、いわゆる「癌(がん)」です。
そして、その中でも最も多いのが
「腺がん(せんがん)」です。
(その他、平滑筋肉腫や移行上皮癌、
扁平上皮癌など)

 

腺がんは、体を構成する組織のうち、
腺組織と呼ばれる上皮組織から発生する
悪性腫瘍で、前立腺以外にも胃や腸、
子宮、肺、乳房、卵巣、肝臓、膵臓、
などに発生することが多いです。

 

そして、前立腺に発生する癌は、
局所浸潤性転移性が高いことで
知られます。

 

局所浸潤は、がん細胞が周囲の組織を破壊
しながら、浸み込むように広がっていく
ことで、浸潤しているがんは、手術で切除
しようにも正常組織との境界がはっきり
しません。

 

転移は、がん細胞が血管やリンパ管を
通って、離れた組織に飛び火して広がる
ことです。
そして犬の前立腺がんでは、多くの場合、
がんが発見された時点で他へ転移して
いるのが現状です。

 

これらのことから、犬の前立腺がんは、
治療が非常に難しく、予後も不良な
がんとされています。

 

<外科的治療について>

 

一般的に、がんは外科手術によって
切除するというのが第一選択になる
ことが多いです。
(手術ができる体の状態であれば)

 

特に前立腺がんでは、周辺臓器(尿道や
直腸、膀胱)が圧迫され、排尿や排便障害
などを起こしているため、早期にその状態
を回避しないと命に関わってきます。

 

ですから、がんの大きさや犬の状態にも
よりますが、まずは手術が検討されます。
そして前立腺がんの手術は基本的に
前立腺の全摘出です。

 

ただし、前立腺は尿道を取り囲むように
位置している臓器で、前立腺の中を尿道
が通っています。また膀胱への神経も
あります。
そのため、手術自体がとても難しく
時間もかかります。

 

そして、ほとんどの場合、前立腺がんの
手術は、根治のための手術ではなく、
その時点での命に関わる可能性のある
障害(特に排尿困難)を取り除き、症状を
楽にしてあげるため、また、少しでも
余命を伸ばすための手術です。

 

手術は、前立腺の全摘出と共に周辺
リンパも切除して転移の有無を確認する
ため検査に出します。
(ただ、実際に前立腺は全て取りきれない
ことも多いです)

 

また、手術時に肉眼でも分かる転移が
すでに見られる場合もあり、可能で
あれば取りきれるだけ取って閉腹します。

 

その後は、排尿の状態をしっかりと観察
しながら、状況に応じて抗炎症剤や
抗生物質などを投与しながら経過を
見ていきます。

 

手術後は転移の状況や、病理組織検査の
結果によって治療法が検討されます。
主に補助療法(抗がん剤や放射線)
対症療法(症状の緩和)となります。

 

【手術後の経過や予後について】

 

前立腺を取れるだけ取りきれて
排尿や排便がスムーズになり、また転移も
なく、全身状態の改善が見られれば、
その後しばらくは元気で良好な状態で過ごす
こともできます。

 

ただし、すでに転移があった場合や、
もし手術時に転移が見られなかった場合
でもその後、高率に転移します。
その場合には、転移した臓器によって
さまざまな合併症が起こってきて、徐々に
衰弱していきます。

 

ですから、転移の状態や手術でどこまで
癌組織を取りきれたかによって、また術後
にどこまでの治療を行うかにもよりますが、
もし何も補助療法を行わなかった場合には
数週間〜2、3ヶ月程度の生存期間とされています。

 

また、術後に積極的に補助療法を行った
場合には、無治療の犬に比べて生存期間
は2~3倍は長くなると報告されていますが
これも状態にもよるため一概には言えません。

スポンサーリンク


<内科的治療について>

 

外科的に切除できない場合には、
内科的治療が行われます。
(すでに複数のリンパや臓器に転移が
見られる、手術のリスクが高い場合、
手術は望まない場合など)

 

がんの内科的治療は、化学療法(抗がん剤)
放射線療法緩和治療などがあります。

 

【化学療法(抗がん剤)と経過や予後について】

犬の前立腺がんの治療に使われる
薬剤としては主に以下が多いです。

*ピロキシカム
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一つで
抗がん剤ではないが、鎮痛効果が高く、ま
た他の抗がん剤と併用することで抗腫瘍効果
を高める作用がある。
(経口投与の薬剤で基本的に一日一回)

*ミトキサントロン
アントラキノン系の抗がん剤で、
ピロキシカムと併用してより高い抗腫瘍
効果が期待できる。
(注射薬、静脈内に投与)

 

その他、ビンプラスチン、ドキソルビシン、
シスプラチンなどの抗がん剤も使われる
ことがあります。

 

効果については、抗がん剤を行った場合は、
生存期間の延長が見られたという報告
が多いです。
(生存期間の中央値は約6ヶ月)

 

ただし、症例数もまだ少なく、また治療前
の転移の有無などによっても経過は異なります。

 

また、犬の前立腺がんに対する抗がん剤
の有効性はまだ明確にはなっていません。

 

【放射線療法と経過や予後について】

近年、動物医療でも放射線治療の
試みが増えてきています。

 

前立腺がんも放射線で良い効果が
見られるとの報告もありますが、
基本的には放射線単体の治療ではなく
手術後、また抗がん剤との併用などに
よって行うことがほとんどです。

 

ただし、放射線の照射は全身麻酔
必要になり、また費用が高額であり、
さらに放射線治療を行う施設が限られて
いることから、あまり現実的な治療
とは言えません。

 

放射線治療の効果については、
他の治療との併用や状態によって
異なりますが、無治療の場合より
は、生存期間の延長は望めます。
(生存期間の中央値は約6ヶ月)

犬の癌の放射線治療!方法や費用、効果や副作用について!

 

【緩和療法と経過や予後について】

緩和療法は、がんに対する積極的な
治療は行いません。

 

主に抗炎症剤などの薬剤によって
体の苦痛や症状をできる限り軽減させる
治療となります。
ピロキシカムは抗炎症効果が高い
ため、使うことが多いです。

 

ただ、排尿困難がある場合には
致命的ですから、内科的な緩和療法では
どうにもなりません。

 

また、薬剤による緩和にも限界が
あり、基本的に生存期間の延長は
望めず、無治療の場合と同じ余命と
なります。
(前立腺がんで無治療の場合の生存期間
中央値は30日以下)

 

そして、尿道閉塞を起こした場合、
無治療では1~2日で亡くなります。

 

その他、ホルモン療法(抗エストロジェン薬)
などを試すこともありますが、基本的
に前立腺がんは、他の前立腺疾患とは
異なり、性ホルモンは関係ないとされて
いるため、効果は不明です。

犬の前立腺肥大症の薬について!作用や効果と副作用、価格など!

 

<まとめ>

 

犬の前立腺がんは、治療を行っても
根治は難しく、またその悪性度の高さ
から予後が非常に悪い病気です。

 

さらに、排尿困難という症状を
起こすところがとても厄介なのです。
前立腺の中を通る尿道の圧迫から
閉塞を起こしてしまうと早期に処置
を行わないと助かりません。

 

そのため、前立腺摘出の手術を行わない
場合にでも尿道の圧迫や閉塞がある場合
には、尿道を確保するための処置
(尿道ステント術やバルーン拡張、
カテーテル留置など)が必要になり、
それらには全身麻酔が必要になります。

 

ですから、手術を行っても予後は期待
できないと分かっていても尿道を確保
するためには、できる限り前立腺を
切除して尿道を確保することが大事になって
くるのです。

 

ただ尿道や他臓器にそこまで影響が出て
いない場合で手術が難しいと判断される
場合には、最初から内科療法を行うと
いう選択肢ももちろんあります。

 

まだ、癌が小さく臨床症状も軽度で
あれば、抗がん剤治療で進行を抑制
しながら、全身状態の改善を目指す
ことも可能です。

 

大事なのは、残された余命を少しでも
苦痛を軽減させて過ごさせてあげる
ことです。

 

ですから、どんな治療を行ってもそれが
難しい場合には、安楽死も検討されます。

 

なるべく早期に発見してあげて治療を
始められるといいですね。

スポンサーリンク

あなたにオススメ記事
バナー にほんブログ村 犬ブログ 犬 健康へ
にほんブログ村

関連記事

  1. 犬の子宮蓄膿症!末期の症状や体の状態、治療について!
  2. 犬のリンパ腫にインターフェロンの作用や効果と副作用など!
  3. 犬の子宮蓄膿症の手術費用や入院期間、術後管理や予後など!
  4. 犬の腫瘍の病理検査(生検や細胞診)!方法や費用について!
  5. 犬のリンパ腫!抗がん剤治療の効果や副作用、費用など!
  6. 犬の前立腺肥大症の薬について!作用や効果と副作用、価格など!
  7. 犬の乳がんが再発!治療や再手術の選択と予後について!
  8. 犬の癌をサポートするドライフードの成分や品質は?予防効果も?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

内分泌疾患

寄生虫について

犬種

検査や手術など

泌尿器の病気

口臭について

犬のニュース・エンタメ

皮膚の病気

犬のニュース・エンタメなど

アトピー・アレルギーなど

薬やサプリなど

症状から見る犬の病気

動物病院について

癌・腫瘍

歯周病

消化器の病気

生殖器の病気

避妊・去勢手術について

PAGE TOP