犬の前立腺炎(急性、慢性)の治療!抗菌剤の効果や予後など!

犬の前立腺疾患は、さまざまな
種類がありますが、大きく分けると
「感染性」と「非感染性」に分類されます。

 

犬の前立腺疾患で一番多い、良性の過形成
による前立腺肥大症前立腺嚢胞(のうほう)
前立腺腫瘍(しゅよう)などは非感染性
あり、前立腺炎前立腺膿瘍(のうよう)
感染性の疾患です。

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そしてさらに、前立腺炎には
「急性前立腺炎」「慢性前立腺炎」
あり、それによって病態や治療法が
異なってきます。

 

前立腺炎は、肥大症の次に多く見られる
疾患で、また肥大症と併発していること
も多いです。

 

また、急性→慢性→膿瘍となっていくこと
もあり、膿瘍になってしまうと命に関わる
ことがあり危険です。

 

そのため、なるべく前立腺炎の状態
の時に適切な治療を行っておくことが
大事になります。

 

こちらでは、犬の急性、慢性前立腺炎の
治療や予後についてまとめてみました
ので参考にしてください。

 

<犬の前立腺炎の原因について>

 

前立腺炎は、ほとんどの場合、尿道口から
侵入した細菌が、尿路をさかのぼって感染
を起こす(上行性感染)ことによって発症します。

 

本来、前立腺にはそのような感染に対する
防御機能が備わっているため、炎症を
起こすことはないのですが、良性過形成
など何らかの前立腺の異変が起こることに
よってこの防御機能が働かなくなり、発症
してしまうことが多いです。

 

そして、前立腺炎の原因細菌は、
主なのが大腸菌でその他は、ブドウ球菌
や緑膿菌、連鎖球菌、エンテロバクター
属菌など・・一般的な尿路感染症で
多く見られる細菌によるものです。

 

細菌種によって治療に使うお薬(抗菌剤)
の種類も変わってくるため、基本的
には前立腺液を採取して細菌を調べる
ことが望ましいです。
(細菌感受性検査=感染症を引き起こして
いる細菌には、どの抗生物質が効くか)

 

また、炎症の他、他の異常(過形成や
嚢胞、膿瘍、腫瘍など)がないかなど
全般的な前立腺の検査が必要になります。

 

直腸検査やレントゲン、超音波などなど
状況に応じた検査が行われます。
前立腺の検査についてはこちらの記事
に詳しく記載しています↓

犬の前立腺肥大の症状(血尿や便秘、痛みなど)や治療について!

 

<症状について>

 

犬の前立腺炎は急性の場合には、

*発熱や痛み
*食欲不振
*元気消失
*嘔吐
*血尿や濁った尿
*歩きたがらない
*歩き方や行動がおかしい
*触られるのを嫌がる

などが見られ、また炎症による前立腺
の肥大があった場合には、尿道や直腸の
圧迫による

*頻尿
*便秘
*しぶり(ウンチが出にくい)
*下痢

などの排尿、排便障害が見られます。
(前立腺炎では、肥大が起こらないこと
もあります。)

 

慢性の場合には、膀胱炎などの尿路感染症
の症状(血尿や頻尿など)が繰り返し起こり
ますが、その他には目立った症状は出ない
ことが多いです。

 

ただし、膿瘍に移行してしまった場合、
進行すると、発熱や元気消失、食欲不振
などの症状が見られ、最悪の場合には、
腹膜炎や敗血症を起こして助かりません。

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<治療について>

 

犬の前立腺炎の治療は、他に併発して
いる疾患がないかによっても多少異なり
ますが、基本は抗菌剤(抗生物質)の投与
によって細菌感染と炎症を抑える治療が
になります。

 

【急性前立腺炎の場合】

急性の場合には、全身状態にも影響が
出ているため、早期に適切な抗菌剤の
投与を行う必要があります。

 

原因菌が分かっている場合は、その細菌
に効果的な抗菌剤を投与します。
また、細菌の感受性検査には少し時間も
かかるため(外注検査)、まだ細菌が分かって
いない場合には、広域な菌種に効果的な
抗菌剤を使います。
(セフェム系、マクロライド系、
テトラサイクリン系、ペニシリン系などなど)

 

また、病院によってはまず広域な一般的
な抗菌剤の投与をはじめ、もし良い効果
が見られない場合に、細菌の感受性検査
をする場合もあります。

 

そして、抗菌剤の投与ですが特に初期治療
では、経口投与ではなく、静脈内(血管内)
投与が効果的です。
抗菌剤の効果は、
静脈内投与>皮下注射>経口投与
です。

 

ですから、その時の病態(重症度)によりますが、
もし、点滴入院などが必要なレベルで
あれば、静脈を確保して点滴を行いながら
抗菌剤の注射も静脈内から投与するのが
一番です。

 

もしくは、通院で皮下注射、状態が
落ち着いてくれば経口投与に切り替えて
といった感じになるのが一般的です。

 

そして、抗菌剤の投与は、前立腺液
の中に細菌が見られなくなるまで必要
になりますので10日〜2週間程度は
継続、長い場合には3週間程度必要に
なることもあります。

 

その他、状態によっては抗炎症剤
(非ステロイド系)の投与が必要になる
こともあります。

 

また、前立腺炎は再発も多いため、
その予防や他の前立腺疾患の予防の
ためにもある程度炎症が落ち着いたら
去勢手術(精巣摘出)を行います。
(未去勢で手術が可能な場合。)

犬の去勢手術後の経過(痛みや腫れ,食欲や元気など)について!

 

【慢性前立腺炎の場合】

慢性の場合にも抗菌剤の投与という
点では同じですが、薬剤の選び方が重要
になってきます。

 

もともと、前立腺という臓器は、
血液前立腺関門というものがあり、
抗菌剤が前立腺内にまで入っていき
にくいという特徴があります。

*血液前立腺関門・・
血液中からの物質の移行を制限する機構

 

急性の前立腺炎ではこの血液前立腺関門
は破壊されていると言われています。
そのため、抗菌剤も前立腺内に入っていき
効果を発揮することができます。

 

しかし、慢性の場合は急性から移行したり、
再発を繰り返すうちに慢性化してしまい
ますが、その時点では血液前立腺関門は
修復されていると言われていて、この関門
を通過できない抗菌剤(脂溶性の低いもの
など)は、前立腺内に入っていくことが
できないため、効果が出ないとされています。

 

この血液前立腺関門を突破して前立腺内
に入っていきやすい抗菌剤のタイプと
しては、菌種にもよりますが、

*ST合剤(サルファ剤と抗菌剤配合)

*エリスロマイシン(マクロライド系)

*クロマイ(クロラムフェニコール系)

*エンフロキサシン(ニューキノロン系)

などが選ばれることが多いです。

 

そして、状態や経過にもよりますが、
慢性前立腺炎では急性の時よりも長期に
渡っての抗菌剤の投与が必要になること
が多いです。
(1ヶ月〜1ヶ月半程度かかることも)

 

ただ、抗菌剤も長期投与になれば
副作用の心配も出てきますので、
途中で細菌の状態をチェックしたり
場合によっては抗菌剤の種類を変える
など、治療経過を注意深く観察していく
必要があります。

 

抗菌剤の主な副作用は、種類によっても
多少異なりますが、

*皮膚の痒みや湿疹
*下痢や嘔吐
*肝機能障害
*出血傾向

などが挙げられます。

 

そしてやはり慢性の場合も未去勢で
あれば去勢手術を行うことが推奨されます。

 

また、治りにくかったり、抗菌剤の
効果があまり出ないような場合には、
ホルモン剤の投与が有効なこともあり、
併用して使われることがあります。

前立腺疾患に使われるホルモン剤に
ついて詳しくはこちら↓

犬の前立腺肥大症の薬について!作用や効果と副作用、価格など!

 

【前立腺膿瘍の場合】

もし、前立腺膿瘍にまで移行してしまった
場合には、治療はさらに厄介になります。

 

抗菌剤やホルモン剤の投与などに
ついては基本的に慢性前立腺炎の
治療と同じですが、膿瘍の場合には、
外科的な手術が必要になることも
あります。

手術について詳しくはこちら↓

犬の前立腺疾患の手術法や費用について!経過や予後なども!

ただし、治療の効果が上がらない時
には、前立腺膿瘍の予後は悪く、
1年生存率は約50%とされています。

 

<まとめ(経過や予後など)>

 

犬の前立腺炎は、まず急性の時に
早期に積極的な治療を行って細菌感染を
ガッチリと抑えて、その後のことも考えて
去勢手術を行っておけば、予後は良好
ことが多いです。

 

しかし、急性の時点で治療効果が
上がらず治りにくい場合や、去勢手術を
行わなかった場合には、一旦細菌感染と
炎症が治ってもその後再発を繰り返したり、
また慢性へと移行してしまう可能性が高いです。

 

そして、前述したように膿瘍になって
しまうとさらに治療は難しく、予後も
悪くなります。

 

基本的に犬の前立腺疾患の中で
感染性(前立腺炎や膿瘍)のものは、
治療が難しいとされています。

 

それには、前述したように前立腺には
血液前立腺関門という問題があり、抗菌剤
が効きにくいため、細菌感染を抑える効果
がなかなか出ないというのが理由の一つに挙げられます。

 

また、急性の場合には比較的分かりやすい
症状が出ますが、慢性の場合には発見が
遅れやすいというのもあります。

 

さらに膿瘍では、症状が出た時には
かなり悪化した状態であり、その時点で
命の危険も伴ってくるため、予後が厳しく
なるのです。

 

ですから、特に気になる症状が出て
いなくても、未去勢のオス犬の場合、
年齢とともに前立腺が肥大してくるのが
普通ですし、その他の病気が起こる可能性
も高いため、若いうちから定期的に検査を
受けておき、早期発見に努めましょう。
(何らかの症状が出た時には病態は
すでにかなり進行していると考えましょう。)

 

また、早いと3歳程度ですでに肥大が
見られる場合もあります。
まだ若い時点で前立腺の大きさを指摘
された場合には、特にその後の状態を
しっかりと観察していくことが重要です。
(もちろんその時点で去勢手術をする
ことが一番良いですが・・)

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