生殖器の病気

犬の前立腺肥大の症状(血尿や便秘、痛みなど)や治療について!

高齢で未去勢のオス犬に高い確率で
発症する生殖器の病気が「前立腺肥大症」です。

 

また、犬の寿命も年々伸びてきていて
高齢化が進んでいるため、それら老齢
の犬の病気も増えてきているイメージが
あります。

 

特に前立腺肥大は、罹患率が非常に
高い病気です。(去勢手術をしていない場合)

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犬の前立腺肥大は、高齢の犬で
多いですが、実際は5歳くらいの犬でも
半数くらいは発症しているとされています。

 

そして、9~10歳になると90%以上の
犬に前立腺の肥大が見られるようになります。

 

前立腺は、お腹の中にありますので
多少大きくなっても外見上は分かりませんし
それに伴う症状も初期ではほとんど出ません。

 

ですから、おおむね5歳を超えるあたり
から肥大はすでに始まってきていて、
少しずつ進行して大きくなっていき、
症状が出始めるようになってから分かると
いうことが多いのです。
(進行の早さや程度にもよる)

 

こちらでは、犬の前立腺肥大の
原因や症状、検査や診断、治療などに
ついてまとめてみましたので参考にしてください。

 

<犬の前立腺肥大症の原因について>

 

犬の前立腺は、骨盤腔(骨盤の囲まれた中)
にあり、膀胱の下(後方)に尿道を取り囲む
ように位置しています。

オスにしかない生殖器(副生殖腺)で
前立腺液といわれる精液の一部を作っていて、
精子に栄養を与えたり、保護する役割があり、
精嚢の中で精子などと混合され精液となります。

 

犬の前立腺疾患は、細菌感染にによって
起こる前立腺炎や、嚢胞形成の前立腺嚢胞
膿瘍形成の前立腺膿瘍、腫瘍性の前立腺がん
などもあり、これらは基本的にすべてに肥大
が見られますが、一番多いのが前立腺肥大症です。

 

犬の前立腺肥大症は、良性の過形成
(過剰な細胞分裂によって起こる組織の肥大)で、
精巣から分泌されるホルモンのアンバランス
原因となっています。

 

加齢に伴い、精巣からのアンドロゲン
(男性ホルモン)分泌量は低下していきますが、
エストロジェン(女性ホルモンの一つ)分泌量
は、増加傾向を示すため血中の性ホルモン
濃度のバランスが崩れてしまいます。

 

その結果、前立腺の腺上皮細胞や間質細胞
の異常増殖が起き、腺房の拡張と間質の
増加により過形成が起こり、肥大してきます。

 

精巣から分泌されるホルモンが原因と
なるため、去勢(精巣摘出)手術を受けて
いる犬では起こりません。
(ただし、その他の前立腺疾患は去勢
していてもかかる可能性があります。)

犬の前立腺疾患の手術法や費用について!経過や予後なども! 

 

<犬の前立腺肥大症の症状について>

 

前立腺肥大症による症状は、
肥大した前立腺が周辺の臓器(直腸や結腸、
尿道)を圧迫することによって起こる合併症です。

 

【直腸や結腸の圧迫による症状】

・排便の姿勢をしてきばるが便が出ない
・少しずつしか出ない
・潰れたような細い便が出る
・しぶり(便が貯まってないのにきばる)

・失禁(おもらし)

などの排便障害。

 

【膀胱の圧迫による症状】

・血尿
・頻尿
・無尿(おしっこが出ない)
・失禁(おもらし)

などの排尿障害。

 

【痛みによる症状】

・歩き方がおかしい
・歩いたり運動するのを嫌がる
・下半身(お尻〜尻尾付け根)を触られるのを嫌がる

などの行動異常。

 

また、肥大だけでなく、前立腺炎や
嚢胞などが併発している場合には、
陰部(陰茎尿道口)から出血が出たり
などもあります。

 

そして、これらの排尿障害や排便障害
が起こっている時には、排便や排尿時、
またそれ以外でも刺激や痛みを伴い、痛み
による症状も見られますが、それらの
合併症が起こっていなければ、基本的に
痛みはありません。

 

要は、周辺の臓器に影響を与えるほどの
大きさ(肥大)にならなければ症状も現れず
痛みもないということです。
ですから、何らかの症状が出ている場合
には痛みも伴っています。

 

また、炎症を伴う前立腺炎や膀胱炎、
嚢胞などを併発している場合には、
肥大の大きさや他の症状に関わらず痛みも
伴います。

 

<犬の前立腺肥大症の検査や診断について>

 

犬の前立腺肥大症では、その臨床症状や
年齢、未去勢ということなどの問診である
程度の予測はつくことがほとんどですが、
正確な診断と治療のためには、

*前立腺の大きさや状態(形状や硬さなど)

*周辺臓器への影響(圧迫の程度)

*他の前立腺疾患との鑑別

*全身の状態

などを調べる必要があるためさまざまな
検査が必要になります。

 

病院や状況によっても多少異なりますが
主な検査は以下になります。

 

【直腸検査】

直腸(肛門)から指を入れて、直腸ごしに
前立腺に触れることで大きさや形状、
硬さなどが分かります。

 

また、指で前立腺を軽く圧迫することで
痛みの有無や嚢胞や膿瘍、腫瘍の可能性
なども推測できます。

 

前立腺疾患が疑われる場合に一番最初
に行われる検査です。

 

【レントゲン(X線)検査】

前立腺の大きさや形、周辺臓器の圧迫の
程度が分かります。

 

尿道の圧迫の具合を詳しく調べるには
造影剤を使ってのレントゲン撮影が必要に
なります。

 

【超音波(エコー)検査】

エコーでは前立腺の大きさの他、
内部構造が観察できるため、嚢胞や膿瘍の
形成の有無など併発している可能性のある
病変の確認ができます。

 

また、尿道の狭窄(圧迫されて狭くなって
いる)部分などの状態も分かります。

 

【病理組織検査】

上記に挙げた検査では、前立腺肥大の
原因が判別できない場合には、前立腺の
組織を採取して病理診断に出す必要性が
出てくることもあります。

 

ただし、前立腺の組織採取には痛みも
伴い、基本的に大人しくしてくれない
ため、鎮静処置が必要になるため、
一般的にはあまり行われる検査ではありません。

 

【前立腺分泌物検査】

前立腺の細菌感染の有無を調べるために
必要になることがあります。

前立腺液を調べることで細胞や細菌など
の種類が分かり、腫瘍細胞などが検出
されることもあるため、癌などが分かる
場合もあります。

 

ただし、前立腺液を採取するためには、
肛門(直腸)から指を入れて前立腺を
マッサージして分泌させる必要があり、
採取自体が難しい場合もあるため、
一般的にはあまり行われる検査ではありません。

 

【血液検査】

全身の状態を把握するために必要になります。

また、治療の基本は去勢手術になります
ので、全身麻酔のリスクを調べるためにも
必須です。
(血液一般検査+生化学検査)

 

【尿検査】

尿路感染の有無を調べるために必要になります。

血尿や頻尿などがある場合、単純な膀胱炎
によるものか、前立腺疾患の影響によるものか
などの鑑別となります。

 

検査費用について:

検査費用は、どこまでの検査をするかにも
よりますが、最低限、直腸検査・X線・超音波・
血液検査は必要になるため、それらだけでも
2万円程度は必要になると思われます。

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<犬の前立腺肥大症の治療について>

 

嚢胞や膿瘍、腫瘍などがなく、過形成に
よる前立腺肥大症だけであれば、治療の
基本は去勢手術(精巣摘出)です。

 

精巣を摘出することで前立腺は徐々に萎縮
してきますので、肥大による圧迫で起きて
いた周辺臓器の影響もなくなってくるため、
排尿や排便障害、痛みなどの症状もおおよそ
2~3週間ほどで改善されてきます。

 

前立腺の状態によっては、術後に一時的に
ホルモン剤の投与が必要になることや、
前立腺の摘出が必要になることもありますが、
ほとんどの場合、去勢手術(精巣摘出)だけで治癒します。

 

逆にもし、精巣摘出しても改善が見られない
場合には、前立腺腫瘍(がん)などの可能性
が高いうことになり、早期に前立腺の摘出
考えなくてはいけません。

 

その他、前立腺の炎症を起こしている場合や
尿路感染などがある場合には、抗生物質の
投与が必要になります。

 

もし、去勢している犬で前立腺肥大が
起きた場合には、合成黄体ホルモンの
投与が必要になります。
(酢酸クロルマジノンや酢酸オサテロンなど)

 

また、どうしても手術をしたくない場合
など、内科的治療として同様に合成黄体
ホルモンの投与を行うしかありませんが、
再発の可能性が高いため、あまり推奨は
されません。

犬の前立腺肥大症の薬について!作用や効果と副作用、価格など!

 

<まとめ>

 

前述したように犬の前立腺肥大症は、
非常に罹患率の高い病気です。

 

しかし、去勢手術をしておくことで
高い確率で防げる病気でもあります。

 

去勢手術はその他の病気の予防のため
にも、また全身麻酔のリスクを最小限
にするためにもできれば2~3歳くらい
までに済ませておくといいですが、
それ以降でも大丈夫です。

 

前立腺の肥大が始まってくる5歳くらい
までに終わらせておければいいですね。

 

また、肥大の進行程度にもよりますが
症状が出ていない時でも健康診断の
時などに肥大してきているのが分かる
場合もありますので、定期的な検診は
しっかりと受けるようにしましょう。

 

そして肥大を指摘されたら悪化して
さまざま症状が出てくる前に去勢手術
を受けるようにしましょう。

 

また、すでに何らかの症状が出ている
のであれば、なるべく早期に診断を
受け、適切な治療を受けましょう。

 

過形成による肥大でも、尿道の圧迫が
重症になると尿路が塞がれて排尿できなく
なり、そうなると命に関わってきます。
オシッコは丸一日出ないと非常に危険な
状態となり、二日出ないと助かりません。

 

そこまで重症化せずとも、排尿障害や
排便障害が慢性化すると常に痛みを
抱えている状態となり苦痛を与え続ける
ことになります。

 

手術・・と聞くと怖かったり不安なイメージ
があるかもしれませんが、去勢手術自体は
難しい手術でもなく、時間も短時間です
から、犬にとっても負担の大きい手術では
ありません。

 

前立腺肥大症による症状を抱えている方
がよほど苦痛です。

 

愛犬のためにも早期に適切な治療を
受けさせて楽にしてあげましょう。

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