皮膚の病気

犬の自己免疫性の皮膚疾患!天疱瘡の診断や治療について!

犬は皮膚病の罹患率が高く、その原因
によってもさまざまタイプがありますが、
一般的に治りにくく、治療が長期化
したり症状が慢性化したりということが
多いです。

 

また原因自体を特定するのが難しかったり
原因が一つでないこともあったりと診断〜
治療までにも時間がかかることもあります。

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そんな犬の皮膚病の中でも比較的稀
なのが自己免疫性の皮膚疾患です。

 

自己免疫性皮膚疾患の中でも一番多い
のが『天疱瘡(てんぽうそう)』と呼ばれる
皮膚病で、これは犬以外でも人や猫、他の
哺乳動物などでも発生します。
ただし、その発生頻度は犬が最も多いと
される病気です。
(人では難病指定されている病気です。)

 

こちらでは、犬の自己免疫性皮膚疾患
の代表的な『天疱瘡』の原因や診断、
治療についてなどをまとめてみました
ので参考にしてください。

 

<犬の天疱瘡とは>

 

天疱瘡とは、自己の免疫が自分を攻撃
(自己の組織に対する自己抗体を産出)
することで皮膚や粘膜に損傷を受けて
発症する皮膚疾患です。

 

抗体とは、体内に異物が侵入してきたとき
にその特徴を覚え、攻撃する役割を持った
タンパク質のことで、外から侵入してきた
異物が抗原となり、通常は自分の組織や成分
に反応する抗体はありません。

 

しかし、時に、自分の細胞や組織を抗原と
見なして反応する抗体が出現します。
これが自己抗体で、さまざまな
自己免疫疾患の原因となっています。

 

天疱瘡は、この自己抗体が、自分の皮膚の
上皮細胞(表皮の角化細胞間、基底膜)を接着
させる構成タンパクに対して産生されてしまう
ことで、タンパクの接着機能が阻害され、
皮膚にさまざま障害(症状)を引き起こします。

 

天疱瘡は、ギリシャ語で『水疱』のことで、
慢性的に水疱ができる皮膚疾患といった
意味合いがあります。

 

天疱瘡は、症状によって以下に分類されて
います。

 

【落葉状(らくようじょう)天疱瘡】

犬や猫で最も多く発症する天疱瘡で、
特に鼻周りや目周囲、耳介(耳たぶ)に
病変が多く見られますが、ボディや足先
など全身に発生します。

 

紅斑(赤い発疹)〜水疱、膿疱(膿汁の水ぶくれ)
〜膿疱が潰れる〜痂皮(かさぶた)となり、
毛は抜け、炎症とかさぶたが混在している
ような状態となります。

 

痂皮(かさぶた)が落ち葉のような
落屑(らくせつ)に似ていることから、
付いた病名です。

 

ほとんどの場合、最初の病変は
鼻周囲に見られることが多いです。

 

痒みや疼痛がありますが、一般的には
それ以外の健康状態には問題のないこと
も多いですが個体差があります。


出典:https://www.tuat-amc.org/


出典:http://www.morinoki-vet.com/

 

【尋常性(じんじょうせい)天疱瘡】

犬の天疱瘡で二番目に多いのが
尋常性天疱瘡です。

 

膿疱や水疱、痂皮(かさぶた)や潰瘍が
顔面(目や鼻、口)や体(陰部や包皮、肛門)の
皮膚と粘膜との境界部、口腔内、皮膚に発生
しますがほとんどのケースにおいて口腔内に
潰瘍が生じるのが特徴です。

 

皮膚の病変は腋窩部(脇の下)や鼠蹊部
(後ろ足の付け根=内股)に見られることが
多いです。

 

また、落葉状天疱瘡よりも病変が深いため、
続発性の膿皮症などを起こしやすいです。

 

さらに痒みも強く、また重症化すると
発熱や元気消失、食欲減退などの症状が
見られます。

 

【紅斑性( こうはんせい)天疱瘡】

紅斑性天疱瘡は、落葉状天疱瘡の
サブタイプとされ、症状は基本的には
ほとんど同じです。

 

ただ、落葉状天疱瘡の良性、不完全型
ともされ、病変は頭部(顔や耳)に限局
されたものです。

 

【増殖性(ぞうしょくせい)天疱瘡】

増殖性天疱瘡は、最も発生が少なく
極めて稀とされています。

 

症例の報告も極めて少ないため、
はっきり分かっていないことが多いですが、
尋常性天疱瘡の良性、不完全型と考えられて
いて、水疱・膿疱、またイボ状や乳頭状
の盛り上がりが見られます。
(口腔内の病変=潰瘍の報告はないようです)

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<犬の天疱瘡の検査と診断について>

 

天疱瘡の診断には、主に以下の検査が
あり、状況に応じて必要なものが
行われます。

 

*他の皮膚疾患の除外

寄生虫、真菌、細菌など他の皮膚炎を
起こす感染症の検査を行い、可能性を除外していく。

 

*臨床症状

天疱瘡の特徴的な皮膚症状、発生部位
などから可能性を疑う

 

*細胞診(塗抹検査)

水疱、膿疱の中身を吸引、またかさぶたの
下の部分を採取して染色、顕微鏡で観察
する検査です。

 

天疱瘡では、棘融解(とげゆうかい)細胞
角化細胞が細胞接着を失った状態』が見られます。

 

*皮膚生検(病理組織検査)

皮膚の初期病変を選んで細胞や組織を
採取して行う検査です。

 

天疱瘡の組織病変では、角質下や
基底膜上、表皮下などに裂隙(れつげき=
すき間)が見られます。

 

*直接蛍光抗体検査

病変部の組織に沈着した免疫グロブリン
(血液や体液中にあり、抗体としての機能
と構造を持つタンパク質、IgG自己抗体)や
補体(免疫反応を補助する物質)を見る検査です。

 

天疱瘡では、細胞間表皮腔にそれらの
沈着が見られます。

犬猫の皮膚専門or皮膚科のある東京都内の動物病院まとめ!

 

これらの検査によって天疱瘡を診断
します。
確定診断には、細胞診と皮膚生検
必要になります。
(棘融解細胞とIgG自己抗体の確認)

 

また、内分泌疾患が原因となる皮膚症状
の除外のためには血液検査なども必要に
なります。(甲状腺や副腎皮質ホルモンなど)

 

<犬の天疱瘡の治療について>

 

犬の天疱瘡の治療は、免疫抑制剤の経口投与
(一般的にステロイド=プレドニゾロン)
となります。

 

薬剤の反応には個体差もあるため
様子を見ながら薬の量を調節していく
ようになりますが、一般的にまず最初は
一日あたり通常投与量の数倍〜10倍の量
一日二回(朝夕)に分けてスタートし、
皮膚の状態の改善が見られてくるまで継続します。

 

その後、投薬を一日一回に減らし、
状態を見ながら、なるべく早期に隔日
(一日おき)の投与に持っていき、維持量
まで減薬するのが目標となります。

 

ステロイドは高用量、また長期の継続
では副作用のリスクが高くなるため、
なるべく症状を抑えつつ、低用量で
維持していけるようにすることが大事です。

犬のアトピー性皮膚炎!ステロイドの効果や副作用について!

ただし、天疱瘡は一旦改善してもまた
再発、悪化することが多いため、常に
薬用量の調整が必要になります。

 

また、副作用のリスクを考慮して
症状がある程度抑えられるギリギリの
低用量で維持していきたいため、皮膚
症状を完全に改善することは難しく、
ある程度まで軽減させた状態で維持
するようになることも多いです。

 

ステロイド量と皮膚症状とのバランス
を考慮して、薬用量を調整していかなければ
ならず、治療が非常に難しい皮膚疾患です。

 

そして、治療は長期に渡り、基本的には
一生涯継続しなければなりません。

 

また、皮膚状態にもよりますが、細菌感染や
二次感染を防ぐための抗生物質の投与も必要
になることがほとんどです。

 

さらに、病変部位にもよりますが、
痒みが強い場合などは、エリザベスカラー
の装着なども必要になります。

 

そして、ステロイドによる体への
影響を見ていく必要があるため、定期的
な血液検査も行われます。

 

<まとめ>

 

天疱瘡は、自己免疫疾患であるため
完治は非常に難しい病気であり、一生涯
付き合っていかなくてはならない病気です。

 

皮膚疾患ですが、放置すると時に
命に関わることもある怖い病気です。
(二次感染によって死に至る可能性も)

 

また、治療に対する反応や経過も
さまざまで予後も一定ではありません。

 

そして、治療はステロイドがメインと
なるため、投与量や期間についても経過
を見ながら慎重に行っていかなければ
なりません。

 

ですから、しっかりとお薬の投与量、
指示を守って定期的に診察を受けるように
してください。

 

病変の状態によっては、紫外線によって
悪化しやすいため、お散歩などは日差し
が強くない時間帯にしたり、日焼け止め
クリームを塗るなどの対処が必要になる
こともあります。
(特に鼻周囲の病変で色素が抜けていたり、
また潰瘍となっている病変などは注意)

 

それらも含め、ケアや注意点など
かかりつけ医から詳しく話を聞きましょう。

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