泌尿器の病気

犬の慢性腎不全の輸血について!効果や予後、適応など!

中~高齢犬で多く発症し、治らない
慢性疾患の代表ともされるのが
慢性腎不全(腎臓病)で、犬の死因の
ワースト3位に挙げられています。

 

また、慢性腎不全は時間をかけて
ゆっくりと進行してくるため、異変に
気付きにくいのが特徴で、また病気が
分かったときにはすでに腎臓機能の
75%が失われているという怖い病気です。

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腎臓には、さまざまな働きがあり、
腎不全になり、腎臓の機能が低下して
くるに伴って様々な合併症が出現してきます。

 

その一つが貧血(腎性貧血)です。

腎性貧血=腎臓から産生される赤血球産生
刺激因子(エリスロポエチン)の産生低下に
よって起こる貧血で一般的な鉄欠乏性貧血
とは異なります。

 

慢性腎不全では、最終的に尿毒症に
(窒素成分が尿中に排泄されず、血液中
に蓄積することによって起こる中毒症状)
陥って亡くなってしまうことが多いですが
その前に合併症によって亡くなってしまう
こともあります。

 

腎不全の合併症である高血圧から
心不全などを引き起こして突然死したり
もそうです。

 

また、貧血も同様に死因になることが
あります。

犬の腎不全の貧血!原因や症状と治療法、造血サプリなど!

 

ですから、腎不全によって起こる
合併症は、深刻なものが多く、その管理
(治療)を適切に行って合併症の進行も
抑えることが非常に重要になります。

 

そして、腎性貧血の治療は基本的に
エリスロポエチン(赤血球の産生を促進
する造血因子)の投与によって対処して
いきますが、腎不全の進行と共に薬剤
も効かなくなり貧血が進行していくことが
あります。

 

その場合、残された手段は『輸血』
しかありません。

 

こちらでは犬の腎性貧血における
『輸血』の効果や予後、適応などに
ついてまとめてみましたので参考に
してください。

 

<犬の輸血について>

 

動物医療においては、人のように
安全な血液を供給する献血システムが
まだありません。

 

そのため、各病院で独自に
患者(犬、猫)さんにドナー登録を
呼びかけ、輸血用の血液を確保すると
いった制度を設けている状況です。

 

ただし、ドナーになる犬にもいくつかの
条件があり、どんな犬でもドナーになれる
わけではありませんし、どこの動物病院
でも行っているわけではありません。
(比較的大きな病院や高度医療、二次診療
を行う病院などでは、献血システムを導入
しています。)

 

個人病院などでは、院内にいざという時
に供血犬にもなる犬を飼育している場合
も多いですが、すべての病院で受けられる
治療ではありません。

 

ただ、犬の輸血は近年は比較的
行いやすくなっている治療であり、
増えてはきています。

 

また、犬の寿命も伸びていて高齢化が
進んでいる状況ですから、それに伴い、
高齢になって増えてくる病気も多いため、
積極的な治療を行うためにも輸血の必要性
は高まってきています。

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<犬の腎性貧血への輸血の適応、効果や予後について>

 

慢性腎不全による腎性貧血の場合、
腎不全の進行度や、年齢、体の状態
にもよりますが、輸血は基本的には
あまり行われることはありません。

 

大量出血など何らかの原因によって
鉄欠乏性の貧血の場合、また赤血球が
つくられて増えてくるまで輸血によって
貧血を改善させて体の回復を待ちます。

 

しかし、腎性貧血の場合、新しい
赤血球がつくられなくなっている状況
ですから、輸血の効果は一時的なもの
であり、腎性貧血を輸血でカバーするには
定期的にずっと継続していく必要があるのです。

 

また、輸血が必要になるくらい貧血が
進んだ状態というのは基本的に腎不全
としても末期の状態であり、輸血に
よって貧血を改善し続けたとしても
他の合併症や腎機能低下の抑制は厳しく
余命を伸ばすことができたとしても
わずかな期間ということが多いのです。

 

ただし、他の合併症がそれほど進んで
おらず、腎臓の数値(クレアチニン)など
もまだ危機的な状況ではない場合には、
輸血によって一時的にでも貧血を改善し、
体力を回復させてその後、エリスロポエチン
や造血剤などで徹底的に治療を行うことで
ある程度、良い状態を維持させて余命を
伸ばすことが可能な場合もあります。

 

ただ、輸血にもリスクがあります。
血液型の一致はもちろん、クロスマッチ
テスト(交差適合試験)を行い、より安全
に輸血が行えるように準備をしますが、
それでも副反応 (アナフィラキシーショック)
が 起こってしまうこともあります。

(アナフィラキシー:
全身性の強いアレルギー反応に
よるショック状態。)

 

ですから、場合によっては輸血によって
さらに状態を悪化、死期を早めてしまう
可能性もあるということを考慮に入れる
必要もあります。

 

また、重篤なアナフィラキシーショックと
まではいかずとも、副反応(急な血圧の
低下や心拍、呼吸が速くなるなど)が
出た場合には、輸血を中止しなくては
ならない場合もあります。

犬の慢性腎不全と強制給餌について!栄養剤やフードなども!

 

『輸血方法について』

輸血の手順自体は、特殊な機材なども
必要なく、点滴を入れる要領で静脈を
確保してそこからヘパリン(抗凝固薬)を
混ぜた輸血用の血液を入れていくだけです。

 

犬の大きさ、貧血の程度によって
輸血量も変わります。

 

犬の体重1kmあたり2mlの輸血で
PCV(HT)は1%上昇する計算で、輸血量
が決められます。
(例:5kgの犬のPCVを5%上げたければ、
50mlの輸血が必要。)

“PCV=血液中の血球成分の全血に対する
容積比を百分率で示した数値。
貧血ではこの数値が低下。”

 

輸血量にもよりますが、時間にして
1~2時間程度で終わります。
(病態によって多少異なります)

その後、状態観察のために半日~1日
程度の入院となることが多いです。

犬の腎不全の末期!痙攣などの症状や治療法、余命について!

 

『効果や予後について』

輸血を行うと、PCV(HT)の数値は
あがりますので、貧血に伴う症状
(粘膜蒼白、動悸、息切れ、起き上がれない、
失神、意識障害など)は、比較的早くに
改善が見られます。
(輸血量にもよります)

 

早い場合、輸血の途中から良い反応が
見られてくることもあります。
(ぐったりしていたのが顔を上げたり、
尻尾を振り出したり・・など。)

 

ただし、あくまでも貧血の伴う症状の
改善だけですので、それ以外の原因も
あって状態が悪い場合には、それほどの
効果が期待できないこともあります。

 

特に慢性腎不全の末期では、
貧血以外にさまざまな症状が出ている
ことがほとんどであり、それらに対して
は輸血の効果は期待できません。

 

そのため、腎性貧血に対しての
輸血の予後は決して良いとは言えません。
あくまでも一時的な効果であり、それを
維持することはほぼ困難であり、また
輸血を定期的に続けていくというのも
リスクを含め、現実的ではありません。

 

慢性腎不全という病気では、前述した
ような理由から積極的に輸血を行うことは
少ないと言えます。
(飼い主さんの要望や獣医師の考え方にも
よります。)

 

ですから、他の合併症も含め貧血も
輸血が必要なレベルになるまでの期間
をなるべく長くもたせるように適切な
治療を行っていくことが重要なのです。

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