泌尿器の病気

犬の腎不全の透析について!方法や費用と効果やリスクなど!

人の腎臓病、腎不全では、定期的に
人工透析を行って、低下した腎機能の
代わりに体内の毒素(老廃物)を排泄
する治療が行われ(透析療法)、それに
よって元気で長生きすることも可能です。

 

そして近年は、動物医療でも透析療法
が取り入れらてきています。

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動物医療の進歩も目覚しく、それに
よって犬猫などペットもどんどん
寿命が伸びてきていますね。

 

ただ、治療を受ける側が動物なので
『病気を治そう!』という意識がある
わけでもないため、人と同じ治療法が
あったとしても、それを人と同じように
行えるかというと残念ながらそうとは
ならない病気、治療も多いです。

 

ペットの透析療法もその一つです。

犬も高齢になってくると腎不全が
多くなってきますが、腎不全は治る
病気ではないため、進行を遅らせる治療
はできてもいずれは末期を迎えることに
なり、亡くなってしまいます。

 

また、末期には有効な治療法がなく、
唯一、最後の頼みの綱は『透析』です。

 

しかし、ペットの透析治療については
まだ問題や課題も多く、現実的に
行われることはまだまだ少ないのが
現状です。
また透析を行う施設(動物病院)も
非常に少ないです。

 

こちらでは、犬の腎不全の透析療法の
方法や効果、リスクなど、また費用に
ついてまとめてみましたので参考にしてくだい。

 

<透析療法とは>

 

人工透析は、腎臓の機能を人工的に
代替して補助することです。

 

腎不全になると腎臓の一番重要な
働きである『体内の老廃物をろ過して
尿として排泄する』機能が低下します。

 

この機能を人工的に補うのが透析です。

 

一般的に動物医療では、点滴や皮下輸液
を行うことで体内の老廃物を排泄する
手助けをします。
その他、薬剤によって毒素を吸着し便と
して排泄、また窒素代謝物(老廃物の一種)
を作り出すタンパク質の制限(食事療法)
をすることで、腎臓機能低下を抑制します。

 

しかし、それでも少しずつ腎不全は
進行しますのでこれらの治療で腎機能
を補えなくなってきます。
そうなると、体全体に毒素が回り、
尿毒症となり、助かりません。

 

そして、そうなった場合にできる
治療は他にはなく、諦めることが多い
のが現状ですが、それでも延命を望む
場合には透析治療しかありません。

 

透析療法は、他治療では手立てがなく
なった腎臓の機能を補うこと、また
尿毒症症状の改善ができる唯一の治療法です。

 

そして、透析治療には、

『血液透析』

『腹膜透析』

の2種類があり、人の腎不全の透析で
一般的に行われているのは血液透析です。

 

『血液透析』は、
専用の透析装置(ダイアライザー)が必要です。

血液を一度体外に出し、ろ過装置と
透析液によって老廃物
を取り除き、
浄化した血液を体内
に戻します。

 

今は、動物専用の透析装置も
良い製品が開発されていますので
導入する動物病院も少しずつですが
増えてきています。

 

『腹膜透析』は、
機械(装置)を使わずに手動で行います。

お腹に専用のカテーテルを挿入し、
そこから透析液を注入し、腹膜を介して
老廃物を透析液の中に
引き込み、
その透析液を回収(カテーテルを介して抜く)
することで老廃物を除去する治療法
です。

 

腹膜透析は、装置が必要なく血液透析
に比べると手軽に行えます。

 

また、連続携行式腹膜透析という、
処置時間を短縮、簡素化した方法もあり、
これだと、在宅で腹膜透析を行うことも
できます。
(ただし犬の性格や飼育環境、腎機能
の状態などいくつかの基準をクリア
しないと適応とはなりません)

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<犬の透析治療の方法>

 

透析治療は、複数回にわたって必要になる
治療であり、状態にもよりますが
数日~数週間かけて行います。

 

また、慢性腎不全の場合には、定期的
に一生涯続ける必要があります。

 

そのため、専用のカテーテルを
体に埋め込む処置が必要になります。

 

【血液透析の方法】

血液を体外循環させるのための血液の
出入り口(ブラッドアクセス)を確保します。

 

犬の場合、大きさにもよりますが、
小型犬であれば首の頸静脈に専用の
カテーテル(ダブルルーメンカテーテル)を設置します。

 

カテーテル装着の際には、軽い鎮静処置
または短時間の全身麻酔が必要になります。
(よほど大人しいワンちゃんの場合には
局所麻酔のみで行われることもあります)

 

ブラッドアクセスを通じて体外に出た血液は、
透析機の血液回路へ流れ込み、途中の
ダイアライザー(透析装置)にて透析処理されます。

 

そして処理が、終わってキレイになった
血液は、また血液回路を通りブラッドアクセス
から体内へ戻ります。

 

血液透析を行う時には、体外循環の
途中での血液凝固を防ぐための
ヘパリン(抗凝固薬)の投与が必要になります。

 

透析の時間は、腎機能の数値や体の状態、
大きさによっても変わりますが、小型犬
であれば平均で一回が2~4時間ほどになります。

 

透析治療中は、容態の変化や状態の観察が
必要ですが、大人しくしててくれれば
犬舎やゲージ、入院室の中で自由に
過ごすことができますがエリザベスカラー
の装着は必須です。

 

透析中や透析後に血液検査を行いながら、
数値の変化をチェックしていきます。

 

透析終了後は、チューブを透析装置から外し、
静脈に装着したカテーテルはそのまま包帯
などでその部位に巻きつけて大事に保存します。

 

慢性腎不全では状態によって数日に1回程度
ですが、急性腎不全の場合は、毎日の透析が
必要になることがほとんどです。
その後は状態の改善に応じて減らしていく
ようになります。

 

【腹膜透析の方法】

お腹の中に透析液を注入するため、
腹腔内カテーテルを腹部に装着します。

 

この時、軽い鎮静処置、もしくは
短時間の全身麻酔が必要になります。

 

カテーテルを通して腹腔内に透析液を
注入します。
(犬の大きさによるが小型犬であれば
1回量200~300ml程度)

 

そのまま、一定時間(1~2時間程度)、
お腹の中に透析液を入れたままにしておきます。

 

その間に血液中の老廃物や尿毒素、
電解質などが腹膜の細い血管を介して
透析液の中に徐々に移動します。

 

その透析液をまたカテーテルを通して
回収、体外に排泄します。
この過程を数回(3~5回)繰り返すことで
血液がキレイになります。
(回数は状態にもよる)

 

透析終了後は、カテーテルはそのまま
装着したまま、包帯などでお腹に
巻きつけて清潔に保持、その上に保護服
などを着せてカバーします。

 

腹膜透析は血液検査の数値や状態にも
よりますが、急性腎不全の場合は、
毎日、複数回必要、慢性腎不全の末期
の場合も毎日必要になるのが一般的です。

 

これらは機械ではなく、すべて手動で
行われます。

 

<犬の透析療法の効果>

 

腎不全における透析療法の治療効果
としては、

*尿毒症の改善
(血液中の毒素が除去されるため、
BUN、CREの数値の低下)

*高血圧の改善
(透析により体内の余分な水分や塩分
が除去され、体内をめぐる血液量が減るため)

などが挙げられます。

 

犬の腎不全の治療で重要な点滴や
皮下補液に比べると透析の効果は
高いです。

 

ただし、動物の場合の透析療法は、
基本的に急性腎不全に対し行われる
救急救命措置という位置付けが主です。

 

急性腎不全の場合、透析が間に合えば
回復が見込めます。

 

ですから、急性腎不全での透析療法は、
透析治療を行うことと並行して急性腎不全
に陥った原因の障害を治療すること、
その後、透析療法から離脱できるまで
腎臓機能を持たせて回復させるための治療です。

 

ただし、ダメになった腎臓の機能は
元には戻りませんので救命できでも
腎臓のダメージが大きかった場合には
その後、慢性腎不全に移行することもあります。

 

一方、慢性腎不全における透析治療の
場合は、最期の延命治療という位置付け
になります。

 

末期の状況ですでに点滴の効果が
見込めない、もしくは点滴が行えない、
他に有効な治療法がないという状況
ですが、実際に犬猫の慢性腎不全では
透析は積極的に行われていないのが現状です。

 

慢性腎不全では急性腎不全と異なり、

・回復が見込めないこと

・長期の延命は難しいこと

があり、また生涯に渡って続ける必要
があるため、

・莫大な費用がかかること

などが理由として挙げられます。

犬の腎不全!皮下点滴の効果や必要性、頻度や期間など!

 

<透析療法のリスクや合併症について>

 

透析療法では、透析中や透析後に
さまざまな合併症が起こる可能性があります。

【血液透析の合併症】

『不均衡症候群』

導入期(体がまだ透析に慣れていない状態)
に、吐き気や頭痛や腹痛などが起きる
ことがあります。

『出血傾向』

血液透析の場合には、血液が固まらない
ようにするため、抗凝固薬が必須ですので
透析中や透析後しばらくは出血すると
血が止まりにくい状態となります。

『血栓症』

体外に出た血液が固まらないよう
抗凝固剤を投与しますが、血栓が
できてしまうリスクはあり、血栓が
血管に詰まると静脈血栓塞栓症を起こす
可能性があります。

『低血圧』

透析により体内の余分な水分や塩分
が除去されるため循環血液量が減少
するため血管収縮能の低下が起きる
ことがあります。
高血圧の改善=低血圧になりすぎてしまう
可能性。

『感染症』

カテーテル挿入部や回路内で
細菌感染を起こすことがあります。
特に犬の場合は、暴れたり自分で
カテーテルを抜いてしまうことも
あるため、リスクは高いです。

 

【腹膜透析の合併症】

『感染症・腹膜炎』

カテーテル挿入部に細菌感染が起きる
ことで皮膚炎などを発症することが
あります。
また、細菌感染がお腹の内部にまで
進むと腹膜炎を起こすこともあります。

『被嚢性腹膜硬化症』

腹膜が劣化し、内部で腸が癒着したり
腸閉塞などを起こすことがあります。
特に腹膜透析を長期間続けることで
このリスクは高くなります。
逆に言えば短期間であればあまり心配
はないとされています。

 

<透析療法の適応について>

 

一般的に透析療法の適応基準は以下になります。

*急性の腎障害(腎機能不全)で
24時間静脈からの点滴、集中治療を
行っても改善が見られない場合

*利尿剤を投与してもオシッコが
出ない状態(乏尿、無尿)

*水分過剰状態で強い浮腫(むくみ)が
見られる

*電解質濃度が危機的な数値
(ナトリウム、カリウム、クロールなど)

*心不全を起こしている

*BUN 100mg/dL以上、CRE 5mg/dL以上。

*慢性腎不全の一時的な憎悪期
(何らかの誘因により急激に状態が悪化)

 

ただし、以下の場合には透析は行う
ことができません。

・原因疾患の状態や合併症が重度。
(透析を行うことで状態の悪化が懸念)

・極端に臆病であったり、攻撃的。
(大人しく透析治療を受けることが
できない犬)

・治療を継続するための費用の捻出が
できない。
(透析は1度で終わる治療ではない)

 

<犬の透析療法の費用と動物医療の現状>

 

犬や猫などペットの透析治療が積極的
に行われない、なかなか普及しないのは、
いくつかの問題が挙げられますがやはり
一番は費用の問題だと思います。

 

特に血液透析は、高額な装置の導入が
必要になるため、必然的に治療費も
高くなります。

 

そのため、何度も長期にわたって
受けられる治療ではなく、あくまでも
回復が見込める場合、透析から離脱
できる可能性がある急性腎不全での
救命措置がメイン
となっています。

 

慢性腎不全の場合、末期でも一時的な
憎悪期
であれば、透析を行うことで
ある程度、状態を安定させてから、
透析から離脱できることもありますが、
離脱できない可能性が高いのです。

 

離脱できない場合には、ずっと透析
治療を続けなければならず、やめた
時点でもう終わり・・助かりません。

 

また、慢性腎不全の末期の体の状態では
透析治療の負担も大きくなるため、
治療自体の継続が困難なことも多いです。

 

そのため、慢性腎不全の場合、
血液透析を効果的に行うには、末期では
なく、まだ全身状態が比較的良いうちから
定期的な血液透析を行っていくことで
長期的な効果が期待できるため、進行を
止めることができるとも考えられています。

 

しかし、実際に費用のことを考えると
透析治療を継続していける飼い主さん
は極少数でしょうし、また前述した
ように透析には少なからずリスクも伴い
ますので、長期的な透析は動物の場合
現実的ではないと言えます。

 

【透析の費用】

病院によって多少異なりますが、
平均的には、透析1回につき、小型犬
の場合で、

血液透析/50.000~100.000円

最初のカテーテル装着処置が
20.000円程度です。

 

急性腎不全の場合は、
順調に回復していけば、数日程度で
徐々に回数を減らしていき、2週間
程度で離脱できます。

 

慢性腎不全の場合は、
状態にもよりますが毎日~1日おきで
必要になります。
ですから、一ヶ月でも莫大な費用が
必要になるわけで、それが亡くなるまで
続きます。

 

また、血液透析を続けても腎臓の回復
が見込めるものでもないため、
慢性腎不全では血液透析は現実的では
ないとされています。

 

ですから、慢性腎不全で透析療法
を行うとすれば、腹膜透析の方が現実的
と言えます。

 

腹膜透析であれば、費用も血液透析
に比べるとかなりお安いです。

腹膜透析/数千円~20.000円

最初のカテーテル装着処置は
10.000~20.000円程度です。

 

また、血液透析装置がなくとも行える
ため、腹膜透析を実施している病院も
多いです。

 

さらに、状態にもよりますし、病院
によっても変わりますが、可能と判断
されれば自宅で行えるように処置をして
もらうこともできるため、毎日通院が
できない場合でも可能な治療です。

 

ただし、自宅での腹膜透析は、
当然合併症のリスクは伴いますし、
飼育環境、家庭環境、またワンちゃんの
性格や行動によっては非常にリスクの
高い危険な行為となるため、詳しく
話を聞き、じっくり検討し、また自宅
の環境を整える必要があります。

 

また、腹膜透析がいつまで続けられるか?

また、延命効果についても必ず効果が
あるとは言えません。

 

ですが・・
諦めたくない。
できることは何でもやりたい。
少しでも長く生きさせたい。
と思われる方は、腹膜透析を行っている
動物病院で相談してみてください。

 

慢性腎不全という病気に対しては、
獣医師によって見解が多少違います。

 

ワンちゃんの年齢にもよりますが、
ある程度の高齢の場合は、
もう歳だから・・
しょうがない・・
といった感じで最後はそうなっていく
老衰的な感じに捉える獣医師も多く、
その場合、積極的な治療を推奨しません。

 

ですから、診断、治療を受ける上で
思いの違いがあると感じた場合には
セカンドオピニオンをオススメします。

 

透析治療を行う病院はまだ少ないです。
特に血液透析の装置を完備している
病院は全国でもわずかです。
(今後、徐々に増えていくはずですが)

 

また、今はペット保険に加入される
飼い主さん(特に犬)も多くなりましたし、
各種ペット保険を扱う会社も増えてきています。

 

しかし、透析治療においては保険の
対象外という会社がほとんどです。
(対象の会社は現在のところないようです。)

 

そんな現状もあり、残念ながら動物医療
における透析療法の普及にはまだまだ高い
壁があると言わざるをえません。

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