呼吸器の病気

犬の気管虚脱の手術法や費用、予後など!完治の可能性は?

犬の気管虚脱は、比較的ポピュラーな
病気にも関わらず、完治は難しく、
対処療法としての内科治療を行うのが
一般的でした。

 

しかし、近年はリスクを最小限に抑え、
根治も可能な外科手術による治療も
少しずつ増えてきています。

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気管虚脱は、内科療法だけでは治療に
限界があり、お薬で対処できなくなった
時には残念ながら助からない病気です。
また愛犬に苦しい生活を強いることにもなります。

 

そのため、

*内科療法ではコントロールが難しい

*また悪化が予想される

*年齢が若い

などの場合には、早めに手術を検討すること
も必要になります。
(いよいよ悪化、進行してからでは手術も
難しく、また予後不良となるため)

 

こちらでは、犬の気管虚脱の外科手術の
手術法や費用、リスクや予後などについて
まとめてみましたので参考にしてください。

 

<犬の気管虚脱の手術について>

 

犬の気管虚脱の外科手術は、
補強材を使って、つぶれた(扁平化)気管
そのものを
元の形(円筒形)に整復して
気管を拡げる
ための矯正術となります。

 

グレード3~4の重度な症例で推奨され
ますが、グレード2でも手術を検討する
ことが必要な場合もあります。
(グレードが上がるほど術後に咳など
が残りやすくなります)

*グレードは気管の潰れ具合で分類
されています。

犬の気管虚脱の検査~診断~グレードや症状~治療法など!

また、すべてではありませんが、一般的
には気管の虚脱は頸部(喉の奥から肩の辺り
まで)から始まり、進行すると段々後ろ、
胸部(心臓の手前)まで虚脱し、さらに進行
すると気管支(心臓より先の肺に近い部分)
が虚脱を起こします。

 

虚脱が頸部のみの状態で手術を行えれば
一番ベストです。
胸部にまで虚脱が進行すると術後に咳が
残りやすくなったり合併症のリスクが上がります。

 

また、気管支まで虚脱してしまった場合
には手術は不可能、もしくは手術による効果
はあまり得られず、術後も内科療法の継続が
必要になります。

 

これらのことから、気管虚脱の手術を
行うのであればなるべく早期のうちにと
いうのが望ましいです。

 

ただ、実際はまず内科療法を行うのが
一般的で、ある程度コントロールできれば
できれば手術はしたくない・・と思う
飼い主さんがほとんどです。

 

そのため、現状では気管虚脱の手術を行う
のはほとんどの場合、重度になってからと
いうのが多いです。

 

しかし、気管虚脱はグレードが低い段階
でも一気に重症化することも多いため、
内科療法を行いながらも定期的な検診
を受けながら、経過をしっかり観察して
手術が必要になる可能性も考慮に入れて
おくことは大事です。

 

<犬の気管虚脱の手術法>

 

犬の気管虚脱の手術は、主に2種類の
方法、

*気管内ステント法

*気管外プロテーゼ(PLLP法)

が行われています。

 

【気管内ステント法】

 

気管内ステント法は、気管内部に
ステント(筒状の管)を挿入して内側から
気管を広げる手法です。

 

ステントはステンレスでメッシュ状に
作られた医療器具です。

動物用の気管ステントは、海外製のもの
が販売されています。

 

さまざまなサイズのものがあり、
気管のサイズ(直径)と虚脱部位の長さを
計測して適合するものを埋め込みます。


出展:http://infinitimedical.com/

内視鏡を使って、口から縮めたステントを
気管内の虚脱部位に挿入します。

 

気管に入ったステントは気管に沿うように
拡張して留まりますので縫合する必要もなく
手技としては難しいものではありません。

 

*メリット:

*喉の切開も必要なく、手術も短時間で
済むため、体への負担が少ない。

 

*デメリット:

*気管内へ異物を入れるため、咳がひどく
なる可能性。

*首の動きや激しく吠えるなどが長期的
に続くとステントが破損する可能性。

*サイズが不適合の場合、気管内でステント
が移動、または気管が損傷する可能性。

*気管内に肉芽組織が増生され、さらに
気管が狭くなる可能性。

*一度挿入したステントは取り出すこと
は困難。

 

『気管内ステント法の予後など』

ステントが挿入されればその時点で
気管は広がり、呼吸が楽になります。

 

ただ、気管はとても繊細で敏感な部位です。
その内部に異物を入れるということは、
それを吐き出そうとして咳を誘発する
可能性も高いのです。

 

この反応には個体差もありますが、
ほとんどの場合で咳が出ます。

 

呼吸は楽になりますが咳という辛い症状
は残ってしまうと、ステントによる刺激
を軽減して咳を抑制するお薬を一生飲み
続けなければなりません。
(お薬を飲んでも完全に咳を抑える
ことは難しいです。)

 

また、ステントの破損などの予防のため、
無駄吠えの癖があるような犬の場合には、
しつけや訓練で頻繁に吠えるのをやめさせる
ようにする必要もあります。

 

気管外プロテーゼ(PLLP法)】

最新の手術法で、現状ではこの方法が
一番推奨されています。

 

虚脱した気管の外側にプロテーゼ
(光ファイバー用のアクリル材を加工
したもの)を装着する方法です。


出展:http://ozuanimal.com/

気管外プロテーゼに関しては、その材質
や形状など色々とあり、それぞれの利点
や難点などが指摘されていましたが、
それらすべての問題点を改善するために
アトム動物病院の院長先生によって考案
された新しい形状のプロテーゼが『PLLP』です。

 

喉から皮膚を切開し、気管の外側に
プロテーゼ(PLLP)を巻き付けて気管が
拡がるように慎重に引っ張りながら、
細かく縫い付けていきます。

 

プロテーゼの装着が終わると、虚脱
していた気管は、プロテーゼの形通り
に拡がっています。

 

気管内に出ている縫合糸は術後
2週間程度で気管粘膜に被われるため、
異物による刺激がありません。

 

*メリット:

*気管内に異物や刺激が残らない。

*長期的に見て安定性が高く、予後も良い。

*症例ごとにプロテーゼのサイズが作成
できるため、どんな犬にもフィットする。

 

デメリット:

*気管支まで達している場合には手術不可。

*精巧な手技が必要になるため、行える
獣医師がまだ少ない。

*ステント法に比べると麻酔時間も長く
喉の切開などの体の負担がある。

*費用が高額

 

『PLLP法の予後など』

プロテーゼが装着されれば、その時点で
気管が拡がり、呼吸が楽になります。

 

手術直後は術中の気管周囲への刺激と
気管内腔に出ている縫合糸の影響により、
咳が出る場合もありますが、ほとんどの
場合、時間経過と共に消失します。

 

また、完全に咳がなくならないまでも
飲み薬は不必要なほど軽い咳で治まる
のが普通です。

 

基本的には、PLLP法の手術が成功すれば
それまでの内科療法は必要なくなること
が多いです。完治と言えると思います。

 

術後の長期経過でも異常なく、普通の子
と同じように過ごせている子が多いです。

 

ただし、手術時にすでに重度に進行している
場合には、その後もお薬が必要になることも
ありますが、術前に比べれば呼吸困難など
の危険は回避できますし、お薬の量も種類も
減らせるのが普通です。

 

また、もともと咳の原因が気管虚脱に
よるものだけでない場合(他呼吸器疾患や
循環器疾患など)には咳は残ります。

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<犬の気管虚脱の手術費用とまとめ>

 

手術費用については、進行度によっても
また病院によっても多少異なりますが、
一般的な相場として、

*気管内ステント法=30~40万円

*気管外プロテーゼ(PLLP法)=70~80万円

ほどになります。

 

また、事前の精密検査などでも数万円程度
は必要になります。

 

気管虚脱は、手術を行う病院もまだ
少なく、費用も高額であるため、
まだまだ一般的とは言えません。

 

以前は手術を行っても予後があまり
良くないということもあり、積極的に
手術を推奨するということがなく、
それ以外に方法がないという緊急的な処置
として行われる感じでした。

 

しかし、現在では上記に挙げたような
予後も良好な最新のPLLP法が主流に
なってきていることもあり、気管虚脱
を患うワンちゃんが苦痛なく楽に生活
できるよう考慮する上でできれば早期に
手術を行うことが推奨されることが多く
なってきています。

 

もちろん、全身麻酔が可能な全身状態で
ないと手術は行えません。
また、手術にはリスクも伴います。

全身麻酔の危険性はもちろん、手術後
の合併症の可能性もあります。

 

どんな手術でも全身麻酔を行う上で
100%安全というものはありませんが
特に気管虚脱がある子は麻酔のリスク
も高くなります。

 

特に進行して重度の場合にはさらに
リスクは高くなりますし、せっかく
手術が成功しても思ったほどの効果は
望めない場合もあります。
また、加齢による内臓機能の衰えなども
麻酔のリスクを上げます。

 

そのため、もし手術を決断するので
あればなるべく早い段階(年齢が若い、
グレードが低い)が推奨されるのです。

 

気管虚脱は、内科療法で根本的に治す
ことができず、年齢と共に進行して
いく可能性が高い病気です。

 

内科療法ではコントロールできない
ほど進行したときには年齢も高く
なっているのが普通です。
つまり、その時点での手術になると
リスクは何倍にもなっています。

 

また、気管虚脱は思うように呼吸が
できないため、とても苦しい病気です。
見ている飼い主さんも辛いです。

 

お薬によって症状を抑えられていると
思っていても、気温や湿度などによって
一気に悪化することも多いです。

また、お薬も長期になると副作用
心配も出てきます。

犬の気管虚脱の薬について!カルトロフェンやステロイドなど!

手術はリスクもありますが、内科療法
でも急激な悪化などリスクは常に
付きまといます。

 

大事なのは、進行状況を定期的に
チェックしながら、適切な治療法を
選択していくことです。

 

獣医師にも良く相談して納得いくまで
話を聞いてくださいね。

 

あまり苦しまず楽に生活させてあげられる
といいですね。。

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