犬の外耳炎は、とてもポピュラーな
病気であり、多くのワンちゃんが患っています。
命に関わる病気ではないため、深刻な
イメージはないかもしれませんがが悪化
すると中耳炎、内耳炎を併発し、耳が
聴こえなくなったり、顔面の神経麻痺が
起きたり、頭をまっすぐに保てず傾いた
まま・・などということも起こりえます。
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また、外耳炎になった原因にもよりますが
慢性化したり、再発を繰り返したりと
治療が長引くことも多いです。
そして、耳の中の痒みや痛みは犬にとって
もとても辛いものであり、ストレスを
抱えることとなりますので、健康状態にも
影響してきます。
ですから、なるべく軽症のうちに治療
を行うことが大事になります。
こちらでは犬の外耳炎の治療や費用など
についてまとめてみましたので参考に
してください。
<犬の外耳炎の治療法>
犬の外耳炎は、ほとんどの場合、
細菌や真菌が耳の中で増殖することに
よって起こります。
本来、犬の耳は自浄作用があり、汚れや
多少の炎症が起きても、自己治癒をして
耳の中を正常に保つ機能があります。
しかし、何らかの原因によってこの機能が
働かなくなると耳の中の環境が悪化し、
細菌や真菌の過剰な増殖が増殖し、炎症が
起こり外耳炎となります。
この原因となる主なものが、
*アトピーやアレルギーなど
*異物混入(植物の種子や体毛など)
*寄生虫(耳ダニ)
*その他(免疫や内分泌など)
などです。
そして犬の場合、おおよそ80%が
アトピーやアレルギーなどの体質が
原因になっています。
そのため、治りにくいのです。
外耳炎の犬のシャンプーやトリミングはOK?方法や注意点など!
治療は原因によっても異なりますが、
基本的には、
*耳の中の治療
*原因の治療
の両方が必要になります。
『アトピーやアレルギーなどの場合』
耳アカや汚れが大量に出ますので
それを洗浄して掃除します。
その後、症状に合ったお薬を入れると
いう処置が行われます。
それと共に飲み薬や注射にて抗炎症剤、
抗生物質などの投与が必要になります。
これは皮膚のアトピーやアレルギーの
治療と同じような治療(薬剤投与)になります。
お薬が効けば、痒みは比較的早く治まり
ますが、耳の洗浄処置は1週間に1~2回の
ペースでおおよそ4~5回ほどで良くなる
ことが多いです。
お薬の投薬は様子を見ながらですが、
はじめの1~2週間から場合によっては3週間
程度必要になることもあります。
外耳炎の進行度にもよりますが、そこまで
ひどくなければ治療期間はおおよそ1~2ヶ月が目安です。
ただし、原因にアトピーやアレルギーが
関係している場合は、お薬が切れるとまた
しばらくして再発を繰り返すことが多いです。
また、ある程度までは良くなっても
完全に治りきらない(正常な耳の状態に
戻らない)こともあります。
そのため、耳の状態が良くなっても月に
1~2回の定期的な診察でチェック、場合に
よっては悪化する前に耳洗浄を行うように
なります。
特に気温が上がる夏場は何度も繰り返すこと
が多いため、特に痒がっている素振りが
見られなくとも月イチ程度で診察を受ける
ことが望ましいです。
『異物混入の場合』
散歩中に植物の種子などが耳に入ったり、
固い体毛が入ったり(特に短毛種)する
ことで炎症を起こすことがあります。
この場合は、その異物を取り除けば
治ることがほとんどですが、耳の奥の方
にあった場合はそれを発見するのが難しい
ことが多々あります。
要は異物が原因だということが分からず、
一般的な外耳炎の治療を行ってもなかなか
良くならないということです。
耳の中を見る『耳鏡』という器具は
どこの病院でもありますが、耳鏡では
耳の奥、鼓膜の方まではしっかりと見る
ことができません。
ですから耳の中、奥の方まで検査するには、
専用の機械(オトスコープ=耳道内視鏡)が
必要になります。↓
出展:https://www.karlstorz.com/
オトスコープであれば耳の奥まで詳しく
検査することができ、異物の除去や
洗浄も行えます。
通常の耳洗浄では取りきれなかった汚れ
などもキレイに除去することができます。
ただし、洗浄や異物除去は基本的に
全身麻酔が必要になります。
検査だけであれば大人しい子の場合には
麻酔なしで行えます。
*オトスコープは完備していない病院も
あります。
これらによって基本的に原因が除去でき、
耳の炎症が治まってくれば治ります。
ただし、外耳炎になっている時点で
耳アカや汚れなどが出てさらに耳の状態
を悪化させているため、一般的な外耳炎
の治療(洗浄処置や場合によって投薬)
は必要になります。
異物だけが原因であればそれを除去して
炎症を抑え、耳の洗浄治療を数回行えば
治ります。
治療期間はおおよそ2~3週間が目安です。
(ただし、鼓膜に穴が開いていたり、
それが原因で内耳炎・中耳炎となっている
場合には数ヶ月単位の治療が必要になります)
『寄生虫(耳ダニ)の場合』
耳ヒゼンダニという寄生虫の感染により外耳炎
を起こします。
肉眼で見ることは難しい0.2mmほどの
大きさのダニです。
耳ダニに感染した犬やその環境からの
感染となりますので、一般的な室内飼育
であれば感染する可能性は低いですが、
ペットショップやドッグランなど多くの
犬が集まる場所に耳ダニ感染の犬が出入り
するような場合、うつってしまうことがあります。
非常に痒みが強く辛いですが、耳ダニを駆除
すれば治る病気ですので他の外耳炎に比べ、
一番治りが早く、完治が可能です。
耳ダニによる外耳炎の場合、真っ黒な
耳アカが出てきます。
この耳アカの中にヒゼンダニは潜んでいます
のでまずは耳の中を洗浄をして耳アカを除去
します。
その後、ダニ駆除のお薬を塗布します。
通常はこの処置を1週間に1回で3~4回ほど
で治ります。
一度の治療でもずいぶんと痒みは落ち着き
良くなりますが、ダニ駆除のお薬はダニの
卵には効果がないため、卵がかえるのを
待って複数回の治療となります。
また、ダニ駆除の注射をする病院も
ありますが、注射薬は強いお薬ですし、
耳ダニは耳の中だけの問題なので、
通院して耳洗浄、外用薬という治療が
推奨されます。
ただし、多頭飼育などで次から次へと感染
が拡がっている場合や環境中に耳ダニが
いる耳アカが落ちている場合などは
手っ取り早く注射を打つこともあります。
(注射の場合も卵には効かないため、3週間
後くらいにもう一回注射となります。)
その他、痒みによる耳の炎症がひどい場合
は、数日間は抗生物質や抗炎症剤などの投薬
が必要になることもあります。
治療期間はおおよそ3~4週間が目安です。
『その他の原因の場合』
その他、あまり多くはないですが、
免疫や内分泌の問題、分泌腺(耳垢腺)、
耳の中のポリープ、腫瘍などの疾患に
よって外耳炎を起こすことがあります。
これらの場合も耳自体の治療(洗浄や外用薬)
と並行して原因治療が行われます。
ただ、これらが原因になっている場合は、
治療に時間がかかり、また完治は難しい
ことも多いです。
また、これらの原因を確実に診断する
のも難しいため、治療も難しいと言えます。
まずは、上記に挙げたような原因が
当てはまらない時にこれらの原因の
可能性が考えられます。
ただ、耳の処置や投薬によって、ある程度、
耳自体の痒みや炎症を取ってあげることが
可能ですから、治療をしながら様子を見る
感じになることが多いです。
原因や治療法にもよりますが・・
治療期間の目安は、数ヶ月単位になると
思われます。
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<外耳炎の治療費について>
外耳炎の治療にかかる費用は原因に
よっても異なります。
また、犬の大きさや病院によっても
変わってきますので平均的な目安として
参考にしてください。
『アトピーやアレルギーの場合』
*耳処置(洗浄・薬塗布)は1回で2,000円前後。
*飲み薬(1週間分)は2,000~3,000円程度。
(耳の状態によって1週間程度の場合もあれば
2週間以上必要になる場合もあります。)
*注射(抗炎症剤や抗生物質)1本あたり
1,500円程度。
(まず一番最初は注射で早めに効かせて、
その後は自宅で飲み薬という感じになること
が多いです。)
また、その他、検査が必要な場合などは
別途かかります。
『異物混入の場合』
異物混入が疑わ、通常の耳鏡で見ても
分からない場合はオトスコープによる
検査が必要になります。
*オトスコープの検査が2,000~3,000円程度。
(麻酔が必要なことも・・麻酔代は別途)
*オトスコープによる異物除去や耳の
洗浄は3,000円~。(麻酔代別途)
*全身麻酔費用は10,000円前後。
(必要時間による)
『寄生虫(耳ダニ)の場合』
*耳処置(洗浄・薬塗布)は1回で2,000~3,000円程度
*飲み薬(必要な場合のみ)数日~1週間分
で1,000~2,000円程度。
『その他の原因の場合』
耳の処置(洗浄や薬塗布)はアトピーの
場合と同じですが、その他の検査代が
かなりかかると思われます。
オトスコープの検査はもちろん、
場合によって血液検査や内分泌ホルモン
検査などなど、さまざまな検査が必要に
なることがあり、数万円程度かかる場合
もあります。
<まとめ>
上記は外耳炎の治療についてですが、
詳しく検査をしてみると鼓膜が破けて
いたり、内耳・中耳にまで炎症が進行
していることもあります。
ですから、通常の外耳炎の治療で良く
ならない場合には、オトスコープで
耳の奥(鼓膜)まで詳しく検査する必要があります。
また、炎症が長引くことで外耳道自体が
狭くなってしまったり、石灰化などを
起こしてしまうと、外耳道切開、耳道切除
などの手術が必要になることもあります。
その他、痒みによって引っ掻き続ける
ことで耳介(耳たぶ)が耳血腫を起こして
しまったりもあります。
犬の外耳炎は治りにくい病気ですから
なるべく軽症のうちに治療すること。
そして、治療を続けても治りが悪い場合は
セカンドオピニオンを検討すること。
近年は耳鼻科専門など、耳の疾患に力を
いれている病院が増えてきています。
そして耳だけの問題ではない場合が多い
(アトピーやアレルギー・体質)ため、
それらも考慮に入れて治療を行うこと。
これらがとても重要になります。