犬は比較的体臭の強い動物ですが
一般的にペットとして室内で暮らして
いる子などは定期的なシャンプーなどを
してもらっていることがほとんどですので
あまり臭さは感じない場合が多いです。
ですから、表面上に汚れなどがないのに
明らかに臭い場合には、
*口臭(口の中に歯石や歯肉炎がある)
*耳の中の炎症
*皮膚の炎症(毛によって分かりにくい)
のどれか・・または複数ということが
ほとんどです。
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そしてこれらは飼い主さんでも容易に
チェックできることですので原因は
分かりやすいと思います。
こちらでは犬に非常に多い、耳の異常
(臭い・赤い・痒がる・膿が出る・腫れている
など・・)で考えられる原因や病気、治療法
などについてまとめてみましたので参考に
してください。
<犬の耳の構造>
犬の耳は、犬種(特に長毛種)によっては
耳の中にもたくさん毛が生えていたり、
垂れ耳、立ち耳、大きさなどその犬によって
特徴は異なりますが、耳の中の構造はいずれも
同じです。
人との大きな違いは、外耳道が途中で
ほぼ直角に曲がっているところです。
(垂直耳道から水平耳道にかけて)
出展:http://dog-life.net/
そのため、耳の中を覗いてみても
垂直耳道の部分までしか見えませんし、
綿棒などで耳掃除をしようとしても、垂直
耳道の部分までしか届きません。
ですから、家で見えるところまでキレイ
に掃除していたとしてもその奥には
実は汚れがギッシリということも良くあります。
また、水平耳道にまで入り込んだ
異物や汚れなどは、構造上、犬が頭を振って
も出にくい状態となります。
ただし、耳の中に異常がなく、健康な
状態であれば水平耳道の汚れは気にする
必要はなく、またそこまで汚れが溜まる
こともほとんどありません。
何らかの耳の病気で耳垢などの汚れが
多くなるとすれば、それは垂直耳道から
始まり、だんだん奥の水平耳道~内耳・中耳
という風に悪化していくことがほとんど
だからです。
つまり奥から悪くなってくるという
ことはまずなく、手前の見える部分から
始まった炎症が奥に拡がっていくのが
普通です。
飼い主さんで多いのが、愛犬が耳を痒がったり
赤くなっていたり、耳垢が多いのが気になり、
ご自宅で耳掃除を頻繁にしてもすぐに耳垢が
溜まってくるといった状況ですが、そのような
状態のときには覗いても見えない水平耳道の
汚れが少しずつ出てきている状態です。
そして、健康な耳であれば中から汚れが
どんどん出てくるということはありません
ので耳の病気になっているということで、
普通に耳掃除をしても治らないのです。
<犬の耳の異常>
犬の耳の異常に気付きやすい症状と
しては、
*臭い
*赤い
*腫れ(外耳道の見える部位)
*黒い耳垢が増える
*白っぽいフケのような汚れが増える
*耳だれ(汁や膿が流れてくる)
*痒がる(後ろ足で頻繁に引っ掻く)
*頻繁に頭を振る
*耳を壁や床にこすりつける
*耳を触らせない
*頭の傾斜が見られる
などです。
多くの場合、これらの症状が複数同時に
見られます。
出展:http://inukusuri.seesaa.net/
出展:http://inubyouki.com/
出展:http://sumireah.net/
出展:http://new-worxs.com/
また、耳を引っ掻きすぎて耳の後ろ
に毛玉ができたり(長毛種の場合)、
脱毛したり、皮膚が傷ついたりしている
こともあります。
犬種によっても耳の状態や皮膚の色は
少し変わりますが、異常のない健康な
耳はこのような感じです↓
(ただし、耳道の中のチェックも必要です)
出展:http://animal-club.link/dog/
また、特に耳の中の毛が多い長毛種
(プードル・マルチーズ・シーズー・
ヨーキー・シュナウザー・コッカーなど)
では、毛がボサボサで分かりにくいことも
ありますので、常に耳の毛を抜いてキレイ
にしておく必要があります。
(上記のような犬種は、ペットショップなど
でのグルーミングやトリミングの際、耳の
掃除で毛を抜くお手入れをしてくれるのが普通です。)
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<犬の耳の異常で考えられる原因や病気>
犬の耳の病気はほとんどが『外耳炎』です。
原因によって症状に多少違いはありますが、
いわゆる外耳道の部分に炎症が起きる
ことで痒みや痛み、耳垢、耳だれなどの
症状が出ます。
ですから、犬の耳に上記のような異変が
見られたらそれは外耳炎を起こしている
と考えて間違いないありません。
そして、外耳炎が進行、悪化するとさらに
奥にまで炎症が拡がり、内耳炎や中耳炎と
なることも多いです。
外耳炎の原因となるのは、
*外部寄生虫(耳ダニ)
*異物混入
*体質(内分泌や免疫などの問題)
*アトピー性皮膚炎
*食物アレルギー
などですが、『外部寄生虫(耳ダニ)』は
他の感染犬との接触や同じ環境にて過ごす
ことでしか感染しません。
子犬などでブリーダーからの流通の
過程やペットショップなどで耳ダニに
感染してしまう場合は多いですが、
一般家庭で飼育されている成犬では
あまりないです。
また、耳ダニの駆除をすれば完治します。
そして異物混入は散歩中に植物の種や実、
虫、また体の被毛などが耳道に入りこんで
取れなくなってしまい、その刺激によって炎症
が起きるものですが、これも原因が分かって
異物を除去すれば治ります。
(ただし、耳の奥まで検査するのは
専用の器具や全身麻酔が必要になること
もあります)
ですから、犬の外耳炎のほとんどは、
アレルギーやアトピー、体質によるものです。
そのため、完治が難しく、再発を繰り返す
ことになるのです。
もともと犬の外耳道には、細菌や真菌など
が存在していますが、そこにアトピーや
アレルギーなどが要因となり、耳道表面
のバリア機能が弱まると細菌や真菌が異常
に増殖して炎症を起こし、外耳炎となります。
出展:https://www.elancopet.jp/
要はアトピーやアレルギーなどの皮膚炎
の耳バージョンです。
犬はアトピー性皮膚炎が多く、過剰なフケ
や赤み、痒み、脱毛などが起こります。
これと同じことが耳の中で起こっている
わけですが、耳の中という特性上、
高温多湿であり、他の部位よりも細菌増殖
がしやすい環境にあります。
また、表面から見て分かる体の皮膚と
違い、耳の中なので気付くのが遅れるため
悪化しやすい傾向にあります。
ですから、犬の耳の異常(痒がる・赤い・
臭いなど)は何らかの原因によって外耳炎
を起こしている状態であり、進行している
場合は中耳炎・内耳炎にまでなっている
可能性もあるということです。
そしてその原因のほとんどは、アレルギー
やアトピーが関係しているのです。
(アトピーの犬の85~90%は外耳炎を
併発しています)
また、痒みや痛みによる耳の引っ掻きすぎ
で耳血腫(耳介=耳たぶの中に血が溜まる)
を起こすことも多いです。
外耳炎の炎症の状態や耳垢の色などは細菌
や真菌の種類によって異なり、それによって
治療薬も変わってきますが、問題はその増殖を
招いた原因であり、同時にその治療も行わないと
なかなか治らないのです。
アトピーやアレルギー、免疫によるもの
は、全身性の疾患であり、耳の治療だけ
行っても治りづらく、また少し良くなっても
再発の繰り返しとなったり慢性化したりと
いうことが非常に多いのです。
また、内耳炎・中耳炎になってしまうと
治療は難しく、手術が必要になることも
あります。
耳の異常が見られたら、早めに受診し、
適切な治療を受けましょう。
また、皮膚の痒みや赤みなどが出やすい
子は、外耳炎を起こす可能性も高いことを
頭に入れ、注意しておきましょう。
特に夏場は要注意です。
軽症のうちに治療してあげると
ワンちゃんも楽ですし、二次的な被害を
防ぐことができますので。