神経・精神疾患

犬のてんかんの検査方法や費用など~診断までの流れ~!

犬の『てんかん』は動物医療では
比較的多く見られる脳の病気の一つです。

 

脳内の神経回路に異常が起き、全身的
または局所的に発作やけいれんを起こす
病気です。

 

犬のてんかんの発生率は100頭に1~2頭
(純血種の場合は5~6頭)です。

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犬のてんかんでは、主に脳に何らかの
病変があって起こる場合(症候性てんかん)
と脳に病変などがなく電気的異常によって
起きる場合(特発性てんかん)に分けられます。

 

症候性てんかんの場合には原因を取り除く
(治療)ことができれば、てんかんの完治
が可能な場合もあります。
(ただし脳の中の病気を取り除くことは
容易ではなく、治療は困難なことが多いです。)

 

逆に特発性てんかんの場合には、根本的
な治療というのは難しいため、お薬に
よる対処療法(てんかんを起こしにくく)
となります。

 

ですから、まずはこのどちらのタイプか
ということを診断することが必要になり、
それによって治療法が変わってきます。

 

こちらでは犬のてんかんの診断に必要な
検査や費用などをまとめてみましたので
参考にしてください。

 

<犬のてんかんの検査>

 

てんかんの検査や診断については
病院によっても多少変わりますが
一般的には以下の流れになります。

『問診』

『身体検査』

『神経学的検査』

『血液検査』

『精密検査』
(脳波やCT、MRI、脳脊髄液検査など)

 

『問診』

*発作の起きた状況(食後、寝ているとき、運動後etc・・)

*発作のタイプ(全身か部分的か)

*意識はあったか(呼びかけに反応するか)

*発作が始めてではない場合、発作の周期(間隔)

*発作の続いた時間

*発作が治まった後の様子(すぐ普通に戻るか)

などが主なポイントになります。

 

初めてのてんかんの場合、びっくりして
しまってこれらの観察は難しいと思います
が、これらはてんかんの診断においても
その後の治療の効果を見る上でも重要に
なりますので都度、しっかりと観察する
ことが大事です。
できれば発作の様子を動画で撮っておくと
いいです。

 

『身体検査』

聴診や触診、体の各部位など外から
見たり触ったりで分かる範囲で異常が
見られないかの検査が行われます。

 

『神経学的検査』

・運動機能の検査
・反射の検査
・感覚の検査

呼びかけや周囲からの刺激に対する反応
を見たり、歩かせたり、立った状態、
座った状態における姿勢や行動の異常
がないかの検査を行います。

 

神経学的検査は、症候性てんかんか
特発性てんかんかの区別に非常に
重要です。(一般的には特発性てんかん
の場合、神経学的検査では異常が
見られません。)

 

『血液検査』

血液検査では、

*血液一般検査(赤血球・白血球・血小板など)

*血液生化学検査(内臓や筋肉障害、アンモニアなど)

などが分かります。

てんかん以外で似たような発作を起こす
病気(低カルシウム血症や高アンモニア
血症、低血糖など)があるため、それら
も血液検査で分かります。

 

また、場合によってはウイルス検査(血液)
も必要になることがあります。
(ジステンパーなど)

 

『レントゲン検査』

頭部、胸腹部を撮影して何らかの異常が
ないかの検査をします。
特に頭部は脳腫瘍や水頭症の可能性を
見ます。
(ただしレントゲンではよほど大きな
異常がないと分かりません。)

また、場合によっては頭部の超音波検査
もあります。

 

ここまでの検査が一般的にどこの病院
でも行うことができる検査です。

 

ただ、これらの検査において『てんかん』
の確定診断とはなりません。
あくまでも、他に同様の発作が起きる
原因(病気)がないか?というのを除外
するための検査と言えます。

 

ですから、この検査で他に発作を起こす
可能性のある病気(異常)が見つからない
場合には、てんかんの疑いが濃厚となり、
『特発性てんかん』と診断され、その治療
に入る場合もあります。
(症候性てんかんの場合にはこれらの検査
で何かしらの異常が見つかることがほとんどです)

 

この判断は病院によっても異なりますが、
その先の精密検査となると犬の体の負担
や費用面などもあるため、必ず必要とは
されない場合も多いです。

 

ただし、症候性てんかんが疑われる場合、
また、より精密な検査が必要と判断される
場合には、それらの機器がある病院にて
検査となります。

 

病院によっては提携の高度二次診療の
病院や大学病院などを紹介してもらえます。
(自分で探さなければならないこともあります。)

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『精密検査』

 

てんかんの診断のため、もしくは発作を
起こす可能性のある脳の病気(病変)を
見つけるための精密検査は、

*脳波(EFG)検査
*画像診断検査(CTまたはMRI)
*脳脊髄液検査

となりますが、いずれも全身麻酔が必要
なる検査です。

 

そのため、犬の年齢や他の基礎疾患の有無
によっては検査自体(麻酔)のリスクが高く
なるため、受けることができない場合も
あります。

 

その判断は前述した血液検査やレントゲン
などの検査で分かりますので、精密検査
を推奨される場合には全身麻酔がかけられる
状態と判断されている場合です。

 

『脳波(EFG)検査』

人のてんかんでは脳波の検査はポピュラー
に行われる検査ですが、動物の場合は
一般的ではありません。

 

脳波検査は、他の脳疾患ではなく
てんかんによる発作でその異常ヶ所
(発作焦点)を見つける検査です。

 

全身麻酔下(もしくは鎮静)で、頭部に
電極を付け、脳波を測定します。
てんかんのある犬(猫)では、脳波に特有の
スパイク(棘波・鋭波)が認められます。


出展:http://www.kyoritsuseiyaku.co.jp/

ただ、犬の場合の脳波はキレイに記録
できないこともあり、また発作焦点
を見つけたからといって基本的に
内服薬での治療は同じなので、あまり
必要(必須)とはされない検査です。

 

また、この検査を実施できる病院も
非常に少ないです。
そのため、他の精密検査と併用で
行われることはありますが、脳波だけ
の検査をするというのはまずないです。

 

『画像診断CT/MRI検査』

脳の断面を見ることで細かな病変や異常が
分かりますので、症候性てんかん(脳腫瘍
や脳炎、水頭症や奇形など)はこれらの検査
で何らかの異常が発見されます。


出展:http://www.daktari.gr.jp/

脳腫瘤↓

出展:http://www.nansei-v.com/

この検査によって何の異常も認められない
場合には、『特発性てんかん』と診断され、
場合によっては続けて脳波検査をして
発作焦点を見つけることもあります。

 

何らかの異常が見られた場合には、
『症候性てんかん』と診断され、
脳脊髄液検査などが行われる場合も
あります。

 

『脳脊髄液検査』

脳の中の脳脊髄液を採取して、
その成分(細胞数、細胞診、蛋白定量)
などを調べることで脳の状態や損傷度
などが分かります。

また細菌やウイルス感染の有無なども
分かります。

 

<てんかんの検査費用>

 

精密検査以外の一般的な病院で行える
検査などは、どの検査をどこまで行うか
によっても費用は変わりますが・・

一般的に『発作を起こす他の病気を除外
しててんかんの可能性が濃厚』と診断、
または特発性か症候性かの見極めまでの
検査では、全部で20,000~30,000円程度
が相場となります。(大型犬の場合は加算)

 

普通の病院ではここまでの検査で
特発性てんかんが濃厚とされれば
治療に入るのが一般的です。

 

精密検査となると、

*脳波検査/10,000~15,000円
(測定時間にもよる)

*CTまたはMRI検査/30,000~60,000円
(犬の大きさにもよる)

*脳脊髄液検査/20,000~30,000円

程度が相場となります。

ただし、全身麻酔は別途となりますので
プラス10,000~20,000円は必要になります。

 

精密検査は全身麻酔下での検査となり、
麻酔がしっかりと覚めてからの退院と
なりますので半日程度は預けるように
なります。(朝預けてお迎えは昼すぎ、
または昼前に預けてお迎えは夕方など)

また、1泊程度の入院となることもあります。

犬のてんかんの薬の種類や副作用など!やめるとどうなる?

 

<まとめ>

 

検査をどこまで行うかは症状や状態に
よっても変わってきますが、一般の
病院で行える検査において『症候性』
なのか『特発性』なのかの判定は必要
です。(治療法や薬剤が異なるため)

 

犬の場合、一般的には70%近くが
特発性てんかんです。

 

そのため、疑いが濃厚となればまずは
特発性てんかんの治療(内服薬)を行い、
治療の効果が見られない場合や悪化が
見られる場合などに精密検査が推奨される
ことが多いです。

 

全身麻酔のリスクや費用面を考えても
正確な診断を望むのであれば最初から
精密検査まで受けた方がいいです。

 

ただ、特発性てんかんであった場合、
精密検査を受けたとしても治療法と
しては基本的に同じです。

 

また、症候性てんかんであった場合は
通常の特発性の治療では効果は見られません。

 

ですからまずは通常の検査で特発性の
疑いが高いとされればその治療を行って
様子を見る方法もありだと思います。

 

もちろん、獣医師の見解にもよりますし、
ワンちゃんの年齢や発作の状態にも
よりますので良く相談してみることが
大事です。

 

また、精密検査が受けられる施設が近隣に
あるかどうかによっても判断は変わりますよね。

 

個人的には、若い年齢のワンちゃんで
あれば若いうちは麻酔のリスクも低い
ですから精密検査を受けておく方が
安心だとは思います。

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