骨や関節の病気

犬の椎間板ヘルニア!グレード分類別の症状や治療法について!

犬の椎間板ヘルニアは、背骨の椎骨
(頸椎・胸椎・腰椎・仙椎・尾椎)の間に
あり、背骨を曲げたり伸ばしたりを
なめらかにするためのクッション剤の役割
を果たす『椎間板』が飛び出したり、変形
することによって脊椎の中を走る太い
神経(脊髄)を圧迫することで起きる病気です。

 

椎間板ヘルニアもその圧迫部位に
よって『頸部椎間板ヘルニア』
『胸腰部椎間板ヘルニア』に分けられ
ますが、犬で多いのは圧倒的に胸腰部
のヘルニアです。

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圧迫部位から後ろの神経が麻痺する
ため、胸腰部ヘルニアでは主に後ろ足、
頸部では前足、後ろ足とも
に症状が
出ます。

 

犬の椎間板ヘルニアの主な症状は、
痛みやふらつき、運動失調、麻痺
などですが、その症状や状態によって
5段階にグレード分けされています。

 

そしてこのグレード分類が
その後の治療の方向性を決める上で
重要になってきます。

 

こちらでは犬の椎間板ヘルニアの
グレード分類、グレード別の症状や
歩き方の動画など、また治療法について
まとめてみましたので参考にしてください。

 

<犬の椎間板ヘルニアのグレード分類と症状>

『グレード1』

*背中の痛みだけある状態で歩行は正常。

触ろうとすると鳴いたり痛がったり、
また突然ギャンっと鳴いて体を丸めて
動かなくなったり震えたり(痛みを
感じているサイン)といった症状が見られます。

人で言うギックリ腰のイメージに
近い感じです。

 

『グレード2』

*歩行は可能だが痛み+後ろ足に神経学的
異常(ふらつきや脱力感)がある状態。

背中を触ると痛がったり抱っこを
嫌がったり、さらに後ろ足の運動失調
などの症状が見られます。

ヨタヨタふらつきながら歩く感じ
で後ろ足に力が入りづらいイメージです。

youtube すばるはは かっこう

 

『グレード3』

*歩行不能だが後ろ足を自力で動かす
ことができる状態。

不全麻痺(力が入らない)となり、歩行
や立ち上がったりなどができなくなり
ますが皮膚の感覚や浅部痛覚はある状態です。

痛みに対する感覚などはあるため、
刺激を与えると反応が見られます。

動こうとしても後ろ足が立ち上がれない
状態ですが、じっくり見てみると後ろ足
も少し動かそうとしている状態です。

youtube Kameido Vet

 

『グレード4』

*歩行不能で後ろ足を動かすことが
全くできない状態。排尿困難。深部痛覚はあり。

完全麻痺で後ろ足は動かず自力での
排尿が困難となりますが深部痛覚は
あるため、強い刺激を与えると反応します。

オシッコを自力で出すことができなく
なるため、膀胱がいっぱいになると
動いたり吠えたりするたびに漏れ出たり
ポタポタと垂れ流しのような感じになって
しまうため、定期的な圧迫排尿が必要になります。

前足だけで歩こうとしますが、
後ろ足に一切動きはなく、完全に
引きずっている状態です。

 

*深部痛覚筋、骨、関節や結合組織
から生じる痛み。
一般に深部痛覚は鈍い痛みで皮膚痛覚
に比べて局在性に乏しい。

 

『グレード5』

*歩行不能で完全麻痺、深部痛覚も
消失した状態。

見た感じでグレードⅣとの違いは
ありませんが、重度の脊髄機能障害が
起きている状態で神経の伝達が激しく
障害を受けているため、後ろ足に強い痛み
を与えても反応しません。

緊急の手術が必要な状態で、治療が
遅れると予後は不良です。

また10%ほどの確率で進行性脊髄軟化症
という状態になることがあり、この場合
残念ながら治療法はなく数日で亡くなってしまいます。

youtube 森のいぬねこ病院

 

また、頸部椎間板ヘルニアの場合には
前足にも症状が現れます。
グレード分類は3段階です。

『グレード1』

*頸部の痛みのみある状態。

首周囲を触られるのを嫌がったり、首を
持ち上げたり振り向いたりなどの動きが
ぎこちなくなったり嫌がるようになります。

歩行は可能です。

 youtube ますだ動物病院 富山県高岡市

 

『グレード2』

*起立・歩行は可能だが前足、後ろ足
に神経学的異常がある状態。

全身の動きや歩き方がおかしくなり、
前足や後ろ足にふらつきや麻痺が見られます。

基本的に動かなくなり、震えたり
うずくまったりなどが見られます。

youtube ふじゆう

 

『グレード3』

*起立・歩行ともに不可能。
前足後ろ足のすべてに神経学的異常
がある状態。

立ち上がることもできなくなり
伏せや横たわった状態になります。

youtube ますだ動物病院 富山県高岡市

 

これら椎間板ヘルニアが疑われる
場合、その後の治療法を検討する上でも
確定診断のためには、

*脊髄造影検査
*CT
*MRI

などが必要になるのですが、
これらの検査は基本的に全身麻酔が
必要となる検査であって、すべての
犬に実施されるわけではありません。

犬の椎間板ヘルニアの検査法(脊髄造影・CT・MRI)や費用など!

そのため、一般的な検査

*レントゲン
*神経学的検査
*血液検査

などによって椎間板ヘルニアの
可能性が濃厚となれば、その時点の
グレード分類に応じて治療法が提案
されることになります。

 

グレードごとに推奨される適切な
治療法は以下になります。

 

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<グレードによる治療法>

 

『グレード1~2』

基本的に内科療法が行われます。

*投薬治療(注射・内服)

・ステロイド系
脊髄損傷時に起こる脂質過酸化や
加水分解(細胞に損傷を与える)を阻害。

・非ステロイド系
抗炎症、疼痛緩和。

・ビタミン剤
損傷した細胞の修復を早める。

などの薬剤が使われます。

 

*ケージレスト

ケージレストは、安静にして運動を
制限させるためにケージの中で過ごさせる
ことで、

・椎間板のさらなる脱出を予防
・破断した椎間板線維輪の回復を待つ
・脊髄の炎症反応を鎮める

ことを目的とした治療です。

ケージレストに使用されるケージの
サイズはその犬の大きさの1,5倍程度
(体位変換が可能で歩いたりジャンプ
したりはできない大きさ)が目安とされ
ますが犬の大きさや病状によっても異なります。

ケージレストの期間は病状によって
異なりますが、3~6週間程度の範囲内
となります。

 

その他、症状緩和のための
『レーザー照射』『針治療』などを
行う場合もあります。

 

グレード1~2では内科療法での改善率
が85~90%とされています。

犬の椎間板ヘルニアのレーザー治療!効果や頻度、期間など!

 

『グレード3』

内科療法or外科(手術)療法となります。

基本的に内科療法でのスタートの
場合がほとんどで、状態によっては
入院して薬剤を点滴投与したりなどの
集中治療が行われます。

 

内科療法で効果が見られない場合や、
一旦症状が改善されてもまた再発を
繰り返す場合などには外科手術が検討されます。

 

その後の病状の進行の可能性や犬の
年齢などを考慮に入れてどうするのが
ベストか良く話し合う必要があります。

 

グレード3では内科療法での改善率
が80~85%とされています。

ただし、グレード3から急に4~5に
なってしまうこともあるため、注意が
必要です。

 

『グレード4~5』

基本的に外科療法(手術)となります。

なるべく早くに手術を行うことが術後
の経過を左右します。
時間が経てば経つほど手術を行っても
改善率が低下します。
特にグレード5の場合は対処が遅れると
改善の可能性が大幅に低下します。

 

手術は脊髄を圧迫している椎間板を
取り除いて圧迫を解除する方法が
行われます。

その他、

・経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)
・再生医療(脂肪幹細胞療法)

などを行う病院もあります。

犬の椎間板ヘルニアにおける再生医療の方法や効果、費用など!

 

グレード4での内科療法の改善率は
40%外科療法では90%。
グレード5での内科療法の改善率は
5%以下外科療法では60%とされています。

犬の椎間板ヘルニアの手術!成功率や術後の経過、費用など!

 

<まとめ>

 

おおまかな治療法の目安は前述した
通りですが、内科療法、外科療法
いずれにしてもその後のリハビリや
ケアなど自宅での介護が長期間必要に
なります。

 

特に内科療法ではケージレストが
非常に重要になってきます。
なかなか可哀想で入れっぱなしには
できない・・という飼い主さんも
多いですが、その1~2ヶ月を頑張る
ことで予後が大幅に変わってきます。

 

最悪の場合、一生歩けなくなる
可能性もあるということを頭に入れて
心を鬼にして対処することが大事です。

 

また、一般的に内科療法の方が
再発率が高いとされているため、
グレード2~3でも外科治療を勧める
病院もありますし、再発した時のこと
を考えておく必要もあります。
(外科手術の場合、術後退院してからは
基本的にケージレストは必要ありません)

 

犬の椎間板ヘルニアは治療もケアも
長くかかります。

また一気に悪化する場合もありますので
注意深く見守ってあげましょう。

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