骨や関節の病気

犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)の原因と症状,グレードや治療法など!

小型犬に非常に多い外科疾患が
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)です。

英語では『Patellar Luxation』
なので、通称『パテラ』と呼ばれます。

 

後ろ足の膝蓋骨(いわゆる膝のお皿)が
通常治まっている位置から外れて
(脱臼)しまう病気です。

 

基本的に小型犬に好発する疾患
でしたが、近年は中型~大型犬など
でも増えてきています。

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小型犬でも特に好発するのは、
トイプードル・チワワ・ポメラニアン・
パピヨン・ヨークシャテリアなど
華奢で足(骨)が細い犬種です。

 

こちらでは犬のパテラについて
まとめていますので参考にしてください。

 

<パテラの原因>

 

犬のパテラはそのほとんどが
先天性のものであり、生まれつきの
構造の問題で、膝蓋骨が収まっている
滑車の溝(滑車溝)が浅く、膝蓋骨が
外れ易いことが原因となります。

 

また、靭帯の緩みや筋肉の構造も
関連しています。(特に小型犬は靭帯
が薄く弱い)

 

膝蓋骨が膝の内側に外れることを
『膝蓋骨内方脱臼』と言い、外側に
外れることを『膝蓋骨外方脱臼』
言います。

 

そしてほとんど(約80%)が『内方脱臼』
でその中でも約半数が両足ともに
症状があります。

 

犬はもともと、脛骨(すねの骨)が
回転しやすい性質があります。
そのため普通でも、膝の関節を
曲げると脛骨が内側に回転します。

 

ただ、成長期にすねの骨が過度に回転する
ことなく、膝の靭帯が真っ直ぐに保てれば、
膝を曲げ伸ばしする時に滑車溝は、膝蓋骨
との接地面でしっかり形成されますので
靭帯が緩むこともありません。

 

しかし、すねの骨が内側に回転すると
膝蓋骨は滑車溝から外れたり入ったりを
繰り返すため、滑車の溝が浅いままで
形成されません。
特に内側の溝が低くなり、靭帯も
緩んでいきます。

 

そして結果的にすねの骨が内側へ回転
する際に膝蓋骨も内側へ外れるという
現象が起きてしまいます。
これが膝蓋骨内方脱臼です。

 

診断は、脱臼している状態であれば
触診によって容易に分かります。
またレントゲン検査によって関節の
状態を見ることができます。
(診察時に脱臼していなくても
触れば脱臼しやすい状態だというのは
分かります。)

 

<パテラの症状>

 

膝蓋骨脱臼では通常通り、足を
使うと痛みが出るため、

*跛行(びっこをひく)

*足を上げたまま付かない

*突然痛がって鳴く

*膝が内股で足先(かかと部分)は外向き

などが見られます。

 

膝蓋骨の脱臼が起きると、
すねの骨が内側に回転して足のかかと
が外側を向きます。

 

そのため、膝が不自然にねじれた状態
となり、そこに歩いたりで力が加わる
膝関節の十字靭帯や半月板に大きな
負担をかけ、それらが損傷を起こす
ことにもなります。

 

また、パテラはその程度によって
グレード分けされていて、グレード
によって症状や治療法も変わってきます。

 

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<パテラのグレードと治療法など>

 

膝蓋骨脱臼を起こす、膝の骨格変形
の状態はその程度によって軽症~重症
まで4段階に分類されています。

 

『グレード1』

通常の運動時、歩行時に脱臼する
ことは稀で関節の曲げ伸ばしにも
影響はないです。

手で圧力を加えると脱臼させることが
できますが、圧力を外すと元に戻ります。
(正常な膝蓋骨であれば脱臼させることは
できません)

一般的な痛みや跛行がないため、
健診などで獣医師に指摘されない限り
飼い主さんが気付くことはほとんど
ないですが激しい運動の後などに
一時的に跛行が見られることもあります。

 

『グレード2』

膝を曲げたときに脱臼することが
ありますが、ほとんどの場合、膝を
伸ばせば自然に元に戻ります。

また、手で戻すことも可能な状態です。

少し痛みを伴うこともありますが、
軽度です。

関節に軽度な変形が認められ、内股歩行
やたまに軽い跛行(スキップしている
ような感じ)が見られます。

また、後ろ足をピーンと後ろに
伸ばしたり戻したりを繰り返す行為
(膝蓋骨を戻そうとしている)が見ら
れたり、ジャンプするのを嫌がったり
が見られることがあります。

 

『グレード3』

膝蓋骨は常に脱臼した状態です。

関節を伸ばした状態で手で元に戻すこと
はできますが膝を曲げるとまたすぐに
脱臼してしまいます。

関節の変形も重度になり、太ももの
筋肉や骨の変形が見られ、頻繁または
持続的な跛行や痛みが見られます。

また多くの場合、膝関節が内側に屈曲
した状態のままになります。(X脚)

この状態で急激な跛行や痛みが出現
した場合には、前十字靭帯断裂の併発
の可能性があります。

 

『グレード4』

膝蓋骨はずっと脱臼したままで人の
手で戻すことも不可能な状態です。

膝関節、大腿骨(太もも)、脛骨(すね
の骨)の変形が顕著となり、膝関節の
曲げ伸ばしができず、足を上げっぱなし
になったり、足が曲がったまま腰を
丸めるようにした歩行が見られます。

症状はさらに悪化していき、
前十字靭帯断裂や股関節脱臼などを
起こす可能性が高まり、そうなった
場合、歩行が困難となります。

youtube 世田谷精機(株) ソフィアテック事業部

 

<パテラの治療>

 

治療法はグレードや状態、犬の年齢、
飼い主さんの要望などにもより、
大きく分けると、

*内科療法

*外科療法

があります。

 

ただし、パテラは外科疾患なので
根本的な治療は外科治療(手術)
なります。

 

『内科療法』

内科療法は、いわゆる対処療法と
なり、症状の軽減や悪化、再発の
防止のための治療です。

 

*消炎鎮痛(膝関節の痛みと炎症を抑える)

*レーザー照射(痛みの緩和)

*サプリなど(膝関節の強化や柔軟性を上げる)

*ダイエット(体重を減らすことで膝での負担を軽減)

*安静(痛みがある時は膝に負担にならないよう歩かせない)

などです。

 

何らかの理由があり、手術が行えない
場合などはこれらの治療を組み合わせて
対処していきます。

 

また、グレード1の場合には、体重を
増やさないように、激しい運動(特に
ジャンプ)などを控え、膝に負担をかけ
ないようにという内科療法で様子をみる
ことが多いです。
(ただし、大型犬の場合にはグレード1
でも早めの手術が推奨されます。)

 

治療効果は個体差がありますが、
膝の骨の状態はそのままですので、
完全に進行を止めることは難しく
少しづつ悪化が見られることも多いです。

犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)に効果的なサプリは?術後ケアにも!

 

『外科療法』

外科療法では根本的治療、改善の
ための手術が行われます。

手術法も膝の状態やグレードに
よっていくつかの方法があります。

 

*滑車形成術

最も一般的な手術法で膝蓋骨が収まる
溝を深くすることで外れにくくする手術です。

 

*脛骨移転術

膝蓋骨の靭帯の角度を変えて
外れにくい方向へ調節する手術です。

 

*大腿骨および脛骨の矯正骨切術

主に重度な骨変形が見られる場合に
矯正する手術ですがあまり行われません。

 

*内側大腿膝蓋筋膜の開放

膝蓋骨を内側に引っぱっている筋膜や
関節包を切ることで、軟部組織の
緊張を解除し、脱臼を起こしにくく
します。

この手術は単独で行われることは
なく、他の手技と併用して行われます。

 

*外側大腿膝蓋筋膜の縫縮(強化)

膝関節外側の大腿膝蓋筋膜(膝蓋骨
を外側に引っぱっている筋膜)を縫って
縮める手術です。

膝蓋骨を整復して元の位置に戻すと
外側の靭帯が余ってたるんだ状態に
なり、不安定になるため縫合して
縮めます。

 

*脛骨内旋制動術

膝関節の脛骨の内旋方向の不安定性
を減少させるための手術です。

内包脱臼は脛を内側にひねった
状態になり、靭帯をかけるため、
脛の骨にワイヤーや縫合糸を通す
ことで脛の内転を防ぎます。

 

などの手術が状態に応じて行われます。
一つだけではなく、複数が組み合わされ
併用されることも多いです。

犬のパテラの手術の費用と術後の経過や予後について!

 

<手術の必要性>

 

膝蓋骨脱臼は根本的治療は
外科手術ですのでグレード2以上
の場合には基本的には手術が推奨
されることが多いです。

 

しかし、手術には全身麻酔が必要に
なりますので、年齢や体の状態も
考慮されます。

 

また、発症年齢にもよりますが
一般的に少しづつ進行が見られること
が多いですが、内科療法でうまく対処
でき日常生活に支障ない範囲で付き
合っていくことも可能な場合もあります。

 

ですから、手術を行うかどうかに
ついては基本的は飼い主さんの
意思によりますが、獣医師が手術を
推奨するポイントとしては、

*手術を行わないと進行・悪化が
予想される

*手術によるメリットが大きい
(特に若い犬や大型犬など)

などの場合です。

 

いずれにしろ、手術をするので
あれば早い方が良く、進行すれば
するほど手術も難しく、複数の手技
が必要になることがほとんどです。

 

また、重度になってしまうと手術を
行っても予後は不良となることも
あります。

 

ですから、タイミング的なものも
あると思いますが、基本的に獣医師
に手術を推奨された時点で手術を
受けるのが一番だと思います。

 

手術というと怖い、可哀想などと
いう思いはもちろんあると思いますが
痛みを抱えたまま、運動制限をさせて
ずっと過ごさせるのも可哀想だと
思います。

 

重度でなければ手術後は、元気に
走り回れるようになりますよ。
(ただし、再脱臼の可能性がないわけ
ではありません)

 

もちろん、不安な場合には
セカンドオピニオンを受けるのも
良いと思いますが、膝蓋骨脱臼に
おいては、あまり見解は変わらない
場合が多いです。

 

納得いくまで、しっかりと何度でも
相談してみてくださいね!

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コメント

    • めい
    • 2018年 4月 26日

    私の犬は片足だけでも15万くらいしました。
    両足でそんなに安いっていったいどこでやってくれるのか知りたいです。

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