犬の風邪と言うと人間の風邪とは
少し異なり、一般的には『風邪』
という言い方(診断)はされません。
ただ、飼い主さんに分かりやすく
説明するために、人で言う風邪の
ようなもの・・という感じでお話
される先生はいらっしゃいます。
犬の場合、人で言う風邪のような
症状が起きる病気は呼吸器感染症
と呼ばれますが、これが『犬風邪』
と表現されています。
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犬の咳や鼻水、くしゃみなどの症状
が出る呼吸器感染症は、ウイルスや
細菌、マイコプラズマなどの感染
による伝染性の気管・気管支炎で、
『ケンネルコフ』と呼ばれます。
ケンネルコフは、
・パラインフルエンザウイルス
・アデノウイルス
・ヘルペスウイルス
・レオウイルス
・気管支敗血症菌(ボルデテラ)
・マイコプラズマ(微生物)
などに感染することによって
発症します。
これらの病原体の単独感染であれば
軽症のことが多いですが、いくつか
が組み合わさって混合感染すると
重症となります。
(*ちなみにこれらは犬の病原体で
あって人にはうつりません。)
犬が多く集まる場所やペットショップ
など不特定の場所から子犬を仕入れて
いる所などでの感染が多いです。
<犬風邪の治療法>
ケンネルコフの原因がどの病原体
かというのは抗体検査などを行う
と特定ができます。
ただ、単独ではなく複合感染も
多く、また検査には時間もかかり
(外注検査)費用も高額となるため、
病原体を特定せずに治療を始める
ことが多いです。
基本的にケンネルコフの治療は
決まっているため、病原体を特定
するまでもないのです。
(ただし、場合にもよります)
ですから、他に咳などの症状が出る
病気(心臓病など)が除外でき、一般的
な呼吸器疾患だと判断されればすぐに
治療となります。
また、ケンネルコフは完治までに
時間がかかります。
そのため、なるべく軽症のうちに
早く治療を始めることも大事なのです。
犬が寒さで食欲不振や体調不良(下痢や嘔吐)に!治療や対処法!
『治療』
治療の基本の薬剤は、
*抗ウイルス剤(インターフェロン)
*抗生物質
がメインとなり、その他症状に
応じて、
*気管支拡張剤
*咳止め
*皮下輸液(点滴)
などの治療になります。
成犬で比較的元気で食欲もある
場合には、自宅での飲み薬の投与
と通院にてインターフェロンの
注射という治療法になることが多いです。
ただし、子犬や老犬、また重症で
食欲がない場合などは入院しての
点滴治療などが必要になることも
あります。
基本的にケンネルコフなどの
ウイルスが原因の病気はウイルス
退治するのではなく、抗ウイルス
剤にてウイルスの猛威を抑えつつ、
ウイルスを排除する力を高め、
治癒まで体をもたせる・・といった
治療になります。
そのため、抵抗力の弱っている犬や
食欲減退の場合には、対処療法の他に
点滴などで水分や栄養補給など行い、
体力を維持させることが大事になります。
ケンネルコフの完治までには、
症状の程度や個体差がありますが
一般的には2週間程度です。
(体力のない子犬などの場合、
長引く(1ヶ月~)ことも多いです。)
ただし、早くに症状が治まってきたから
といって自己判断で治療を止めてしまう
とウイルスが再燃して繰り返すことも
あります。
また、症状が軽度の場合には、
特に治療を行わなくても自然治癒する
可能性もありますが、その場合でも
ウイルスは保有して咳などで撒き散ら
していることには変わりないため、
他への感染源となりますので他犬との
接触は控えましょう。
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<自宅での対処法>
ケンネルコフに感染してしまった
場合、室内環境と体調管理が重要です。
*温度・湿度管理
呼吸器疾患の原因となるウイルスは
低温、低湿度を好みます。
そのため、冬場などは注意が必要です。
室温:21℃~
湿度:50%~
に保つようにしましょう。
*空調管理
空気中のホコリや微生物などは
呼吸器を刺激するため、咳が
出やすくなります。
空気清浄機やこまめな換気などで
空調管理をしましょう。
*食事管理
ウイルスなどの感染症には、
体の抵抗力を上げることが大事です。
質・バランスの良い食事を与える
ことはもちろん、特に食欲がない
場合などは栄養価の高い食事を
少量ずつ与えるようにしましょう。
また、呼吸器に異常がある場合、
食事の匂いを嗅ぎ辛くなっている
ことも多いです。
少し温めるなどして匂いを出して
食べやすくするなどの工夫も大事です。
*なるべく安静にストレスなく
興奮したり運動をさせると、
咳が助長され気管の炎症が悪化します。
そのため、なるべく安静に
過ごすようにしましょう。
散歩もお休みするのがベストですが
排泄などでどうしても必要な場合、
短時間で終わらせるようにしましょう。
*多頭飼育の場合
他にも同居の犬がいる場合、
感染する可能性が非常に高いです。
できれば隔離(部屋を分ける)する
のがベストですが、できない場合、
温度、湿度管理でウイルスの活動
を抑え、空調や換気を徹底しましょう。
また、場合によっては同居犬にも
抗ウイルス剤の注射を接種しておく
のも予防効果があります。
また、全種類の予防はできませんが、
・アデノウイルス
・パラインフルエンザ
・ボルデテラ
などは、混合ワクチンに含まれて
います。
ケンネルコフのリスクを減らす
ためにも定期的なワクチン接種を
受けるようにしましょう。
人間同様、犬も寒くなってくると
呼吸器感染症は増えます。
健康管理に注意し、少しでも症状が
見られたら早めに受診してくださいね。