犬の消化器症状で下痢や嘔吐は
非常に多いです。
原因はさまざまですが、
治りにくかったり、長期化(慢性)
したりと症状も色々です。
そして下痢や嘔吐などの症状が
起きると体内の水分と電解質が
失われるため『脱水症』が起きてしまいます。
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脱水も軽度であれば、自宅での
水分補給(経口補水療法)などの
ケアで対処できることもあります。
しかし、
*高齢の犬(または子犬)
*他に何らかの基礎疾患がある
*下痢や嘔吐の症状がひどい
*長期化している
*食欲がなく水も飲まない
*飲んでも吐く
*絶食が必要
などの場合には、病院での点滴や
皮下補液による水分補正が必要になる
ことがあります。
こちらでは、下痢や嘔吐による
脱水症状の治療、病院で行う点滴
の必要性や効果、費用などについて
まとめてみましたので参考にしてください。
<脱水時の点滴(輸液)のメリット>
脱水症状がある場合、通常で
あれば水分補給をすることで
症状の改善は可能です。
しかし、経口的に水分摂取が
難しい場合、また脱水が重度で
ある場合などには、点滴による
輸液療法が必要となります。
通常、人では点滴と言うと、
静脈(血管)からの投与となりますが、
犬や猫の場合、同じく静脈からの
投与の他、まとまった輸液を皮下に
注射する方法(皮下点滴、皮下補液)
もあります。
『点滴のメリット』
*嘔吐がある時、絶食時もOK!
下痢や嘔吐の原因にもよりますが、
症状が落ち着くまで絶食が望ましい
こともあり、その場合、栄養補給
もできなくなるため、体力は低下します。
しかし、点滴の場合には胃腸に
負担をかけることなく、必要な
栄養と水分補給ができます。
*効果が早い
点滴の場合、経口摂取よりも
効果的(効果が現れるのが早い)なのです。
栄養分を経口摂取した場合、
まずは胃腸で消化され、その後全身
に回るため、時間がかかります。
点滴では直接血管や皮下から
吸収させるため、消化の過程を
省けます。
*胃腸の回復を早める
食事や水分を経口摂取する場合、
少なからず弱った胃腸に負担を
かけることになります。
点滴の場合には、胃に余計な
負担をかけることがないため、
胃腸炎の回復が早くなります。
*一緒に薬剤投与ができる
下痢の原因や体の状態によっては、
さまざまな薬剤の投与が必要に
なることもありますが、経口投与
できない場合には注射での投与しか
ありません。
薬剤にもよりますが、点滴の輸液
と一緒に入れることが可能ですので
何本も注射をする必要がなくなります。
『点滴のデメリット』
*時間がかかる。
静脈からの点滴の場合、最低でも
1日~程度は預ける必要があります。
(皮下点滴の場合は数分で終わります)
*犬へのストレス
点滴中は入院になり、点滴を
噛んだり外したりしないよう、
エリザベスカラーなどの装着も
必要になるため、犬にとっては
ストレスとなります。
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<点滴(輸液)の効果や種類>
点滴を行うことの効果としては、
*水分補給
下痢や嘔吐で失われた水分や
電解質を補い、体液のバランスを
保ちます。
*栄養補給
嘔吐や下痢で食事ができない
場合などにビタミンなどの栄養
補給になります。
*原因の治療(原因にもよる)
下痢の原因に対する薬剤を輸液
とともに投与することで治療に
なります。
などが主なものとなります。
点滴(輸液)にもさまざまな種類が
あり、脱水の重症度や種類によって
使い分けられます。
一般的に嘔吐や下痢による脱水
で使用されるのは、
*生理食塩水(静脈・皮下点滴)
*リンゲル液(静脈・皮下点滴)
*生食+5%ブドウ糖(静脈のみ)
*混合液(静脈のみ)
などが主になります。
犬猫の場合、短時間(数分)で
静脈点滴の数時間~1日分程度を
入れることができる皮下点滴も
多いですが、皮下点滴では投与
できる輸液や薬剤が限られています。
(基本的に生食かリンゲルのみ)
皮下に入れると吸収が悪かったり、
局所刺激が強い薬剤などもあります
のでそのような輸液が必要な場合
には静脈点滴となります。
また皮下点滴よりも静脈点滴
の方が吸収が早いため、効果の
発現も早いです。
ただし、前述したとおり、
静脈点滴は入院とある程度の
拘束が必要になるため、よほどの
重症でなければ、最初は皮下点滴
で様子を見ることが多いです。
(犬の性格や嘔吐下痢の原因にもよります)
また、他に何らかの基礎疾患が
ある場合なども使用する輸液の種類
は変わってきます。
<点滴、皮下輸液の費用>
皮下輸液は、状態にもよりますが
基本的には1日1回の通院となります。
症状が落ち着くまで3~7日程度
かかるかと思います。
犬の大きさや輸液の量にもよりますが
1回の皮下輸液の費用は、だいたい
2,000~3,000円程度が一般的です。
(診察料や他の薬剤投与などは別)
静脈点滴の場合には、入院となります
ので、点滴料+入院費+処置(静脈留置)
の他、原因によっては他薬剤の投与も
必要になります。
それらすべて含むと犬の大きさにも
よりますが、小型犬でも
1日当たり7,000~8,000円から一万円
近くはかかると思われます。
中型~大型犬になると10,000円~
15,000円程度は必要になるでしょう。
入院しての静脈点滴の場合は、
まずは2~3日が目安となります。
静脈点滴の場合、一番効果的ですので
1~2日である程度症状が治まれば、
その後、皮下輸液に変えていくこと
も可能ですので、早めに退院できる
こともあります。
静脈点滴が必要になる前、軽度の
ときに早めに対処してあげるのが
一番ですね。
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