犬の皮膚疾患はさまざまありますが
外部寄生虫の感染によって発症する
皮膚病の一つが疥癬(かいせん)症です。
ヒゼンダニという小さなクモに
似たダニが皮膚に寄生することに
よって発症しますが、さまざまな
皮膚疾患の中でも一番痒いと
言われる皮膚病です。
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こちらでは、犬の疥癬の検査や
症状、治療などについてまとめて
みましたので参考にしてください。
<疥癬の検査>
ヒゼンダニにも多くの種類があり
ますが犬に寄生するヒゼンダニは、
『イヌセンコウヒゼンダニ』が
ほとんどです。
(まれに猫に寄生するネコショウ
センコウヒゼンダニに感染することもあります。)
出展:http://blog.livedoor.jp/ukyo_ah/
0,2~0,4mmの大きさで肉眼では
見ることはできないダニです。
体表に寄生し、メスは皮膚に
2~3mmのトンネルを掘って
住み着き、産卵を繰り返します。
このダニや卵を検出することで診断
します。
検査では、皮膚の表面、角質を
メス刃などで削り取り(皮膚掻爬検査)
顕微鏡で確認、ヒゼンダニや卵が
見つかれば疥癬症の診断となります。
感染から長く時間が経っている
場合などはなかなか検出されない
こともありますが、ほとんどの
場合、1~2回の検査で検出されます。
<疥癬の初期症状~>
ヒゼンダニは感染犬との接触に
よって感染します。
(近年は野生のタヌキからの感染
も増えてきています。)
また、感染犬が使ったブラシや
タオルなどからも間接的に感染
することがあります。
疥癬に感染した場合、初期では
皮膚に赤い発疹がポツポツと
見られるようになります。
(感染から発症まで1~3週間です。)
ただ、それ以前にしきりに痒がる
ようになりますので分かりやすい
と思います。
ヒゼンダニの糞や分泌物などが
刺激となり、アレルギー反応を
起こし、激しい痒みを引き起こします。
特に初期では、毛が少ない顔や
耳、皮膚が柔らかいお腹周囲や肘
などに症状が出やすいです。
進行して疥癬が増殖してくると
狂ったように掻き毟ったり噛んだり
することで皮膚に傷を作ってしまう
ようになります。
そして炎症を起こし、出血したり
かさぶたになったり、脱毛を
起こしたりし、やがて病変は全身
に広がっていきます。
さらに放置したままにしておくと
ヒゼンダニは増殖、全身の皮膚が
細菌感染を起こし、また激しい痒みから
くるストレスで犬は食欲不振に陥ったり
栄養状態も悪くなり、抵抗力の弱い子犬
や老齢の場合は弱ってしまうことも多いです。
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<疥癬の治療>
疥癬の治療はヒゼンダニの駆除と
皮膚症状に対する治療です。
ダニ駆除剤の投与と皮膚の状態
によって抗生物質などの投与が必要となります。
ダニ駆除ができれば、徐々に痒み
は減ってきて引っかかなくなり
ますので皮膚も自然に治ってきます。
ダニ駆除剤は、病院によっても
多少変わりますが、一般的な
薬剤としては、
*イベルメクチン(アイボメック)
*ドラメクチン(デクトマックス)
などの投与(注射)が一番効果的です。
注射は卵には効果がないため、
通常は1~2週間おきに2~3回ほどの
投与(注射)となります。
(注射の場合は、だいたい3回の
投与で終了となりますが、効果が
弱い場合は、飲み薬などが必要に
なることもあります。)
ただし、注射は作用も強く、
子犬やフィラリアに感染している犬、
また犬種(コリー・シェルティなど)
によっては使用できません。
それらの場合、注射よりも効果は弱い
ですが、イベルメクチンの飲み薬
(フィラリア予防薬)や皮膚滴下式
の外用薬剤(レボリューション)などの
方法もありますのでそのワンちゃん
に最適な治療法が選択されます。
また、薬用シャンプーや薬浴を
併用することで皮膚状態の改善も
早くなります。
犬の体の疥癬の退治はできても、
室内飼育などで環境中(タオルや
毛布、ブラシなど)にヒゼンダニ
や卵が付着していることもある
ため、それらの消毒も必要になります。
また、同居犬がいる場合には、
その子も予防の意味も込めて
内服や外用薬の塗布を行って
おいた方が安全です。
(すでに感染している場合もあります。)