犬の皮膚疾患の一つ、真菌症は
皮膚糸状菌の感染によって
さまざまな皮膚症状を引き起こす
病気です。
円形の脱毛や赤みを伴う丘疹、
またフケやかさぶたなどが
見られ、病変は全身に広がって
重症化していくこともあります。
健康な成犬ではあまり見られない
皮膚病ですが、若齢(子犬)、
免疫力が落ちている、免疫抑制剤
などの薬剤を投与している場合
などに発症しやすい病気です。
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治療には、抗真菌剤のお薬や
薬用シャンプーが使われます。
こちらでは犬の真菌症の治療
に使われる飲み薬や塗り薬など
についてまとめてみました。
<真菌症の治療薬(外用薬)>
犬の真菌症で使われる塗り薬で
主なものは以下になります。
『イミダゾール系抗真菌薬』
有効成分:ミコナゾール硝酸塩
・フロリードDクリーム1%
・アムリードクリーム1%
・ミコナゾール硝酸塩クリーム1%
など。
出展:https://www.qlife.jp/
強い抗真菌活性と幅広い抗真菌
スペクトルが特徴。
皮膚糸状菌やカンジダや癜風菌
にも有効。
効き目が良く、刺激などの副作用
も比較的少ないため、真菌症の
治療に広く使われています。
副作用:
発赤、紅斑、かゆみ、かぶれ
刺激感(しみる、ヒリヒリ、熱感)など。
『アゾール系抗真菌薬』
有効成分:ケトコナゾール
・ニゾラールクリーム2%
・ケトコナゾールクリーム2%
・ニトラゼンクリーム2%
など。
出展:https://www.qlife.jp/
作用、効果はイミダゾール系
抗真菌薬とほぼ同じですが、
アゾール系抗真菌薬は、
脂漏性皮膚炎にも効果があります。
副作用:
発赤、紅斑、かゆみ、かぶれ
刺激感(しみる、ヒリヒリ、熱感)など。
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<真菌症の治療薬(内服薬)>
犬の真菌症で使われる飲み薬
で主なものは以下になります。
有効成分としては外用薬と同じです。
『アゾール系抗真菌薬』
有効成分:ケトコナゾール
・ニゾラール錠200mg
・ニナゾル錠200mg
など。
出展:https://osakado.cc/
真菌(カビ)の細胞膜合成を阻害
する効果が高く、増殖を抑える。
猫では副作用が強く出る可能性
がありますので注意が必要です。
副作用:
肝機能障害(肝臓毒性)
犬の場合には高容量で長期服用
の場合に、副作用が出ることが
あります。
『トリアゾール系抗真菌薬』
有効成分:イトラコナゾール
・イトリゾールカプセル50
・イトラコナゾール錠50
など。
出展:https://www.sorashido.com/
真菌の細胞膜の主要構成脂質の
エルゴステロールの生合成を阻害、
真菌の増殖を抑制します。
脂溶性で組織から徐々に放出される
ため効果が持続。
犬ではマラセチア皮膚炎にも
使われます。
副作用:
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、
発疹、痒み、肝機能値の異常
また、相互作用を起こしやすい
ため、他の薬などを服用している
場合には悪影響や副作用が出やす
くなることがあります。
その他、皮膚の状態によっては、
二次感染の予防、化膿止めの
ために抗生物質が処方される
こともあります。
ただし、通常の抗生物質だけでは
真菌への効果はありません。
皮膚の状態や重症度、また他の
基礎疾患などによっても治療に
使われるお薬は変わってきます。
部分的に1~2ヶ所などでまだ早期
の状態であれば塗り薬と薬用
シャンプーでの治療でも十分
効果はあります。
(ただし完治までには時間はかかる
ことが多いです)
全身に広がっている状態や、
真菌症を発症してから時間が経って
重症化している場合には飲み薬を
併用しないと完治は難しい場合が
多いです。
(飲み薬の服用は通常2~3週間)
ただし、飲み薬は内臓機能
(肝臓・腎臓など)がしっかりと
していないと服用できません。