犬の皮膚の表面や内部に寄生
する虫を外部寄生虫と言います。
お腹(腸内)に寄生するのは、
内部寄生虫(腸内寄生虫)です。
外部寄生虫はノミやダニなど
肉眼で確認できるものも
いますし、痒みが出たり、脱毛や
皮膚炎を起こすことが多いため
飼い主さんでも異変に気付きやすい
と言えます。
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外部寄生虫は特に気温が高く
なる時期、春~夏にかけて
活動が活発になるため、感染、
発症することが多くなります。
犬の場合は、室内飼育でもお散歩
でお外に行くことも多いため、
寄生虫の予防対策をしていないと
高い確率で感染してしまいます。
そこでこちらでは犬の皮膚に寄生
する外部寄生虫について画像など
も交え、治療法などについてまとめ
てみましたので参考にしてください。
内部寄生虫はこちら↓
<寄生虫の種類や画像>
犬の皮膚に寄生する虫は、
代表的なもので、
*ノミ
*マダニ
*シラミ
などです。
また、皮膚の中に寄生するのが
*疥癬(かいせん)=ヒゼンダニ
*耳ダニ(ミミヒゼンダニ)
*毛包虫(アカラス)=ニキビダニ
などです。
<ノミ>
犬猫に寄生するノミは、イヌノミ
とネコノミの2種類ですが、
近年は犬に寄生しているのも
ほとんどがネコノミです。
(地域にもよる)
ネコノミは、
オスで1.2~1.8mm
メスで1.6~2.0mm
の大きさです。
出展:http://www.nikkei.com/
犬の体に寄生したノミは、
吸血をし、メスは一日に10個
以上の卵を産みます。
成虫の寿命は約2~3ヶ月で
その間、吸血と産卵を繰り返し
生涯に約400個の卵を産みます。
ノミは動きが素早いため、成虫
を見つけるのはよほど多数が寄生
していないと難しいです。
そのため、ノミの寄生を確認する
ためには、ノミの糞を探すのが
一番分かりやすいです。
出展:http://blog.tarumioasis.com/
黒っぽい砂のような粉のような
ものが皮毛に付着しています。
特に背中~腰、尻尾の付け根
あたりに多く見られます。
そしてノミは吸血するため、
糞は水に濡らすと赤褐色になります。
出展:http://blog.livedoor.jp/ikeno_animal/
検査・治療・費用など:
ノミは目視で糞を確認できるため、
特別な検査は必要ありません。
治療はノミの駆除薬の塗布だけ
ですが、ノミアレルギーで皮膚に
炎症を起こしている場合などは
抗生物質や抗炎症などの飲み薬
が必要になることもあります。
また、ノミの媒介によって、
腸内寄生虫の瓜実条虫に感染する
可能性があります。
ノミ駆除薬は病院によっても
変わりますが、フロントラインや
レボリューションなどが使われます。
費用は体重にもよりますが、
ノミ駆除薬/1,200~3,000程度。
アレルギー治療/3,000~5,000円程度。
<マダニ>
マダニは吸血することによって
どんどん成長していき、吸血前
と吸血後では100~200倍近く、
大きさに違いがあります。
そのため、大きくならないと
気付かないことが多いです。
未吸血時は2mm程度の大きさです。
出展:http://www.bayer-pet.jp
成ダニは犬の体に寄生すると
3~10日間吸血し、その後は
地上に落ちて産卵します。
マダニは体のどこにでも寄生
しますが特に目のフチや耳、口の
周辺など被毛の少ない部分に寄生
することが多いです。
出展:http://www.mone-pet.com/
出展:https://blogs.yahoo.co.jp/familyah/
最初はダニだと分からず、
イボかできものだと思って
しまうことも多いです。
マダニはのこぎりのような口を
皮膚に刺し、吸着物質を分泌して
口を皮膚に固定して吸血します。
そのためマダニは犬が引っ掻いたり
人が引っ張っても簡単には取れません。
無理に引っ張ると口の部分だけ
皮膚の中に残ってしまい、後に
炎症を起こすことがあります。
そして、マダニは
・バベシア症
・ライム病
・Q熱
・SFTS
などを媒介します。
検査・治療・費用など:
マダニも目視で確認できるため、
特別な検査などは必要ありません。
治療はマダニの駆除になりますが、
病院では直接マダニを取ることも
ありますし、駆除薬の塗布だけの
場合もあります。
いずれにしろ、その後の予防の
ためにも月に一度の予防(駆除)
のお薬が必要になります。
マダニではノミのような皮膚炎
を起こすことはあまりないため、
大量寄生で他に問題が出ているよう
なことがなければ治療は駆除だけ
になります。
費用は体重にもよりますが、
ダニ駆除薬/1,200~3,000程度。
(ノミ駆除薬と同じものです。)
<シラミ>
犬に寄生するシラミは、
*イヌシラミ
*イヌハジラミ
です。
イヌシラミは吸血しますが、
イヌハジラミはフケなどを
食べて生きるため吸血はしません。
多いのはイヌハジラミです。
シラミは一見するとフケの
ような感じですが、じっくり
観察すると動いているのが
確認できます。
出展:http://blog.livedoor.jp/inunekoblog/
大きさは幼虫で1mm、
成虫で2mm程度。
成虫の寿命は2~3週間。
卵は産み付けられてから
10~20日で孵化します。
ハジラミ↓
出展:http://www.r20.7-dj.com/
シラミが寄生すると皮膚炎や
痒みを引き起こします。
また、進行すると皮膚や毛の
べた付き、脱毛などが起こります。
また、ハジラミは条虫の中間宿主
でもあるため、犬がハジラミを
食べてしまうと、条虫に感染する
ことがあります。
犬のシラミが人間に移ることは
基本的にはありません。
(宿主特異性が高いため)
検査・治療・費用など:
シラミは肉眼でも確認できますが
顕微鏡にて確認することもあります。
治療はシラミの駆除です。
駆除薬はノミやマダニと同じ
ものが使われます。
また、皮膚炎などを起こして
いる場合は、その治療も必要に
なります。
費用は体重にもよりますが、
シラミ駆除薬/1,200~3,000程度
皮膚炎治療/3,000~5,000円程度
また、状態によっては
薬用シャンプーなどが必要に
なることもあります。
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<疥癬(かいせん)>
皮膚の内部に寄生し、激しい痒み
を伴うのが疥癬症(ヒゼンダニ)です。
ヒゼンダニは、肉眼で見ることは
できない小さなクモに似た寄生虫
で、皮膚の中に穴を掘っていき、
潜り込み、表皮を食べて生活する
寄生虫です。
出展:https://medicalnote.jp/
メスは、皮膚に2~3mmの
トンネルを掘って産卵を繰り返します。
この皮膚にトンネルを掘るとき
に非常に激しい痒みを伴います。
卵は3~10日で孵化し、成ダニに
成長し、その後産卵をするように
なるまで約3週間かかります。
犬の皮膚病の中でも一番痒い
とも言われるのが疥癬症で、
痒みのため犬は激しく体を
掻きむしったり、出血するほど
引っ掻いたりが見られます。
このため、皮膚自体もボロボロ
になり、脱毛、炎症を起こし、
皮膚の表面が硬く、象のように
なっていきます。
最初は顔面や四肢に異常が
見られることが多いですが、
進行すると全身に拡がっていきます。
出展:http://www.hayashiinunekobyouin.com/
出展:http://wanwannyan.blog68.fc2.com/
重度になると治療でヒゼンダニ
の駆除をしても皮膚状態が元に
戻るまでに時間がかかります。
また、疥癬は人にも感染します。
検査・治療・費用など:
確定診断はヒゼンダニもしくは
卵を顕微鏡にて見つけることです。
皮膚の表面を少し削って
(血が出るくらいまで)顕微鏡
にて確認します。
ただし、簡単には見つからない
こともあります。
疥癬になってから時間が経って
いるほど見つかりにくくなります。
治療や殺ダニ剤の注射が効果的
ですが、万が一フィラリアなどに
感染している場合には危険な
こともあります。
そのため、状態を見ながら
殺虫効果のある薬剤の投与や
塗布、薬用シャンプーなどで
治療を行っていきます。
(皮膚の状態、全身状態によって
治療法は変わります。)
また、検査でヒゼンダニを発見
できないときも、皮膚症状から
疥癬が強く疑われるときには
疥癬の治療を行う場合もあります。
費用は体重にもよりますが、
皮膚検査/1,000~2,000円程度
駆虫、皮膚治療/2,000~10,000円程度
殺ダニの注射は卵には効かない
ため3~4週間あけてもう一度。
その他の治療の場合には、完治
までには2~3ヶ月かかることも
あります。(重症の場合にはさらに)
<耳ダニ>
耳ダニも基本的には疥癬と
似ていますが、ミミヒゼンダニ
(耳にだけ寄生)が耳の中に寄生
することによって起こります。
黒い耳垢が大量に出てきて
激しい痒みを伴います。
出展:http://ecol-biol.com/
出展:http://inukusuri.seesaa.net/
検査・治療・費用など:
耳垢を採取し、顕微鏡にて
ミミヒゼンダニを見つけること
で診断となります。
治療は疥癬と考え方は同じに
なりますが、殺ダニの注射で
駆虫することもあれば、
耳の中を洗浄しながら殺ダニの
お薬を入れて(週に1回を3~4回)
いく治療を行うこともあります。
費用は体重にもよりますが、
耳ダニ検査/500~1,000円程度
駆虫、治療/4,000~10,000円程度
(完治まで)
<毛包虫症(アカラス)>
ニキビダニとも言われる毛包虫
は、犬の皮膚の毛穴に住みつく
体長0.2~0.3mmの肉眼では
見ることのできない寄生虫です。
出展:http://vet-dogs-cats.at.webry.info/
毛包虫(ニキビダニ)は、子犬のうち
に母犬から感染するとされています
が、多くの場合、何の症状も出ず
にそのまま生活している子がほとんどです。
しかし、何らかの原因(免疫の低下
や基礎疾患)でニキビダニが
異常繁殖すると痒みや皮膚炎、
脱毛などを起こし『アカラス症』
となります。
また、犬種によってアカラス症
になりやすいとされる種類も
いるため、遺伝的要因も考えられています。
出展:http://www.oak-animal.com/
出展:http://www.oak-animal.com/
症状は程度によって軽いもの
から重度のものまでさまざま
です。
以前は非常に治りづらい完治
の難しい厄介な皮膚病とされて
いましたが、現在は有効な薬剤
が販売されましたので治療の効果
も上がっています。
検査・治療・費用など:
検査は疥癬と同じく皮膚の表面
を削って顕微鏡でニキビダニを
見つけることで診断します。
治療は、状態にもよりますが
飲み薬(ブラベクト錠)や滴下式の
駆虫薬(アドボケート)などが
使用されます。
ただし、治療によって皮膚症状
が改善しても再発することが
多く、また一旦良くなっても
急に悪化することもあります。
治療費用は、使用する薬剤や
体重によっても変わりますが、
アカラスの治療費は他の皮膚病
よりも高額になります。
また、病院によっても治療法や
扱う薬剤が異なります。
(例)
駆虫薬/10,000~30,000円程度
(3ヶ月効果がある薬剤の場合)
その他、皮膚の状態によっては
抗生物質の投与、薬用シャンプー
などが必要になることもあります。
また、再発を繰り返しやすい
ため、完全に治療を止めると
いうことは難しく、一生の付き
合いにもなる皮膚病と言えます。
犬の皮膚病はその原因によって
使用する薬剤や治療法も変わって
きますし、間違った治療では
悪化させてしまいます
今は市販でさまざまな薬剤も
販売されていますが、自己判断
でお薬を投与することはやめて
動物病院でしっかりと診断をして
もらいましょう。
(寄生虫の予防のための薬剤で
あれば大丈夫です。
病院より安い場合も多いですしね・・)