犬の癌は、種類や発生部位にも
よりますが、治療としては、
まずは外科手術による切除が
一般的です。
腫瘍とその周辺の広範囲切除が
行えれば完治、また予後も良い
場合(腫瘍)もありますし、手術
の経過や術後の状態によって他
の治療が検討されることもあります。
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犬の悪性腫瘍の中では扁平上皮癌
は多く見られる癌です。
そして治療法も基本的には他の
癌同様に手術が第一選択になる
のですが、扁平上皮癌はその
発生部位が口腔内や鼻など、
広範囲切除が難しいことが多い
癌です。
そのため、手術+抗がん剤or放射線
という治療になる可能性が高い
癌と言えます。
そこでこちらでは犬の扁平上皮癌
における抗がん剤治療や放射線療法
についてまとめてみました。
メニュー
<抗がん剤治療について>
抗がん剤にもさまざまな種類があり、
腫瘍のタイプや状態によって使い
分けられます。
犬の扁平上皮癌で使われることの
多い抗がん剤は主に以下になります。
*白金(プラチナ)製剤
(シスプラチンやカルボプラチン)
DNAの二重らせん構造に結合して
DNAの複製を阻害、また癌細胞を
自滅へと導く働きがあります。
*抗腫瘍抗生物質
(ドキソルビシンなど)
癌細胞の細胞膜を破壊したり、
DNAまたはRNAの複製や合成
を阻害する働きがあります。
*分子標的薬
(イマチニブやトラセニブ)
細胞の増殖や浸潤、転移などに
関わる、がん細胞特有の分子を
ターゲットとするため、従来の
抗がん剤に比べ、副作用が少なく
治療が行えます。
*ピロキシカム
(バキソやフェルデンなど)
こちらは抗がん剤ではなく
非ステロイド性の消炎鎮痛薬
ですが、抗がん剤との併用で
使用されることが多いです。
プロスタグランジン
(ホルモンに似た働きをする物質)
の生成を阻害して、疼痛や強張り、
圧痛や腫脹を軽減する働きがあります。
これらの併用、組み合わせで
抗がん剤治療が行われますが、
手術+抗がん剤での予後は比較的良く
1年生存率は58~91%と高い方です。
また、腫瘍ステージや転移などの
有無にもよりますがさまざまな
症例の研究によると生存期間中央値
(平均生存期間)は、45ヶ月とされています。
抗がん剤は種類にもよりますが
もちろん副作用があります。
ただし、犬や猫の場合には、
人間のような激しい副作用は
起こりにくいとされています。
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<放射線治療について>
放射線療法は、癌の種類に
よって、感受性(効果)が高いもの
とそうでないものがあります。
動物の腫瘍における放射線感受性
として、相対的に
・高い
・比較的高い
・中程度
・低い
と分けられますが、扁平上皮癌
は「比較的高い」に分類されています。
放射線も腫瘍の状態によって
治療スケジュールを立てて複数回
の照射が必要です。
また副作用は少ない方ですが
可能性はあります。
そして一番の問題は放射線療法は
都度、全身麻酔が必要になると
いうことです。
詳しくはこちら↓
そのため、抗がん剤治療よりは
リスクも高く、また施設も少ない
ため、気軽に受けられる治療では
ないと言えるかもしれませんね。
放射線治療の効果は照射回数に
よっても変わりますし、癌の
縮小や抑制なども状態によって
異なりますが、おおよそ70~80%
で症状の改善、緩和効果があると
されます。
また1年生存率は72%とされています。
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放射線治療も抗がん剤と併用
したり、他のさまざまな治療と
組み合わせることでさらに効果を
高めることもできます。
また、扁平上皮癌は同じ部位に
局所再発が多いですが、手術後に
放射線治療を行うことで、再発
の予防効果も高くなります。
放射線療法は費用面の問題や
全身麻酔のリスクをしっかりと
考慮する必要がありますので納得
いくまで詳しく説明を受けることが大事ですね。
ただし、抗がん剤も放射線も
手術ができない状態(癌がそのまま)
での治療では上記のような効果は
期待できません。